雌伏(しふく)の時を経て:(7)人間関係編
雌伏(しふく)の時を経て:(7)人間関係編
雌伏シリーズ最後のエントリー。
軽いコラムだと思って読んでもらえればと。
人生で後悔すること
定期的に、死ぬ間際に後悔すること系、余命1ヵ月と宣告されて後悔したこと系の記事が目に留まることある。出典不明でPV稼ぎの下らない記事も多いが、ここで紹介する本は、著者の老人ホームでの実体験がベースとなっているだけに、説得力がある。
後悔のうちの1つに、家族や恋人以外で、「友人・知人との人間関係をもっと充実させておけばよかった」が挙げられることが多い。本書でも4番目にある。老人ホームにいる孤独な老人からすると、確かに、家族以外の「繋がり」を維持することの大切さを身に染みるのだろう。
- 作者: ブロニーウェア,Bronnie Ware,仁木めぐみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/12/01
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
- 自分に正直な人生を生きればよかった
- 働きすぎなければよかった
- 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
- 友人と連絡を取り続ければよかった
- もっと幸せを求めればよかった(諦めなければよかった)
後悔ではなく、反省する
もはや個人的な哲学とか、言葉のセンスの問題なのだが、「後悔」という言葉が嫌いだ。
- 過去の選択や行いに、常にベストを尽くしていれば、「反省」はあれど後悔はない。
- 後悔からは何も生まれないが、「反省」からは学びがある。
確かに人間だれしも、意図せず過ちを犯すことはある。それを過失と言う。何気ない言動で、人を傷つけてしまったり、信用を失うことなんて日常茶飯事だ。そんな時は、誤りを認め、謝罪や信頼回復に努める以外にない。
わたしも「あんな言い方はなかったな」とか「もっとうまくコミュニケーションできていたらな」と毎日反省することばかりだ。寝る前やシャワーでフラッシュバックして、悶絶することも多い。
もし後悔の念が頭から離れず、過去に囚われてしまうときには、「~しなければよかった」「~していればよかった」ではなく、視点を変えてリフレーミングしてみると良い。或いは相手目線でのビジュアライゼーションなども有効だろう。きっと心が軽くなるはずだ。
どれだけ気を付けていても、後悔するようなことは起きる。
人生はそれだけ長い。
一方で、晩年、後悔に暮れて過ごすことほど無駄なことはない。
人生は長くて短いのだ。
人間関係についても、後悔ではなく、反省することに努め、関係性を発展させてゆくことができれば素晴らしいと思う。人生の友人関係、交友関係で、もし、将来、後悔するようなことがあるなら、今すぐ取り掛かるべきだ。修復したい関係や作りたい関係があるなら、自分に素直に、ありたい方向に努めてみればいい。
もし、人生における優先順位がそこまで高くなさそうなら、無理をする必要はない。あなたが自然体でいるだけで近くにいる友人が、真の友人になるだろう。
コミュニティを大切にする生き方
「定年後、夫は余暇を持て余し、妻は余暇を楽しめる」というのは、よく聞く話だ。科学的にも、女性の方が広い交友関係を維持するのに向いていると指摘されている。仕事一本に生きる人生で、いざリタイア後に仕事がなくなったとき、人生の目的が失われる昭和サラリーマンも多かった。
一方、わたしの観測範囲だけでも、若い世代になればなるほど、1つのコミュニティ、特に会社や仕事のコミュニティよりも、プライベート、ボランティア、趣味といった外のコミュニティを大切にするのが当たり前になってきている。巷でも、複数のコミュニティを縦横無尽に行き来する、柔軟な生き方を指南する本が増えた。
こうした変化の時代背景には、テクノロジーの浸透と、経済の停滞・自然災害の影響がある。これも言い古された話である。
- SNSにより繋がりが当たり前になり、個人にとっての世界が拡張された。LINEやfacebook、twitterを通じて、遠くにいる友人の近況を気軽に知ることができるし、会話を楽しむことができるようになった。テクノロジーにより、コミュニティの形成・維持・管理コストが劇的に低下し、コミュニティの概念もよりライトなものに拡張された。
- 日本のGDP成長が頭打ちで、失われた20年を超えてアベノミクス景気の恩恵が実感できないなか、この30年で、日本国内での大規模な震災が相次ぎ、都市インフラを麻痺させたことで、経済的な豊かさだけでなく、人の繋がりやコミュニケーションの価値が見直されてきた。
人が人のつながりを求め、社会が変質し始めたのは間違いない。
家族と仕事の半径3m以内の濃い繋がりだけでなく、ストレスのない緩い繋がりが、人々の生活に平穏をもたらしている。
個性と没個性、そして、世界は”関係”でできている
いま世界は、「正解」のない問いに立ち向かわなければならない。
山口周さんが声高に主張するとおり、「正解を出す力(問題解決能力)」の価値も相対的に下がってきている。
- 作者: 山口周
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/07/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
そこで起こることは、「個性」の復権である。
個性とは、他者との違い、比較から生まれる相対的な特徴ではない。
自分が持つ根源的な欲求、価値観が、ありのままで発現されている状態が、個性の本質である。
個性を通して、世界を観察すると、「もっとこうあればいいのに。」「こんな社会にならないかな。」とオリジナルの疑問が生まれてくる。
未来を構想するための大事なアイディアだ。
アイディアを育てながら、情報にアンテナを張ると、どんどん関連する情報が目に付くようになる。人とアイディアを交わせば、より深く、細かい解像度でその事象を理解できるようになる。個性を大事にすることで、ゆくゆくは、行動が変わり、取り巻く世界が変わってくるのである。
そして、個性が集まり、互いに認め合い、緩く共同体意識をもつ集団ができれば、それがコミュニティになる。前段で述べたとおり、人と人の繋がりを大切にしなければ生きづらい世のなかになってきた。他者との関係性のなかで自分を定義するような古い考えではなく、自分の絶対的な感性や価値観から生み出す個性を通じて、世界と”関係”を築く。「個性」と「コミュニティ」がタイヤの両輪になり、人生が安定・推進されてゆくのである。
よく、個性が強い=自己主張が強い、と勘違いされているが、所属する組織や仲間グループのなかで、声高に自分の意見や感性を主張するのは、個性ではなく単なるワガママでしかない。
個性があるからこそ、人を惹きつけ、共感しあえる仲間ができるのである。仲間うちで個性を発揮しよう!と意気込む時点で、誤りなのだ。順番を間違えてはいけない。
まとめ
死ぬときに後悔する5つのこと、から、個性とコミュニティの話までをツラツラ書いてきた。個性を育てること、人と円滑に関係を築くこと、多様なコミュニティを横断すること、そして、末永く晩年にまで続く繋がりを保つこと。これらが人生100年時代に求められる新しいスキルなのだと思う。
本ブログの雌伏シリーズで7本の記事を書いてきた。この数年間を振り返る形で、7つのテーマについての自分のいまの考えを言語化してみたつもりだ。読者側からはわからないかもしれないが、一見関係のない7つのテーマで言語化することで、自分らしく主体的な人生を生きることに対して向き合い続けている。また、未来に向かって、自分を奮い立たせるためのエキスを自分用に散りばめておいたので、定期的に読み返し、進化させてゆきたいと思う。
さぁ、オレたちの時代の始まりだ!
急げ!!急いで準備を整えろ!!!
本物の海賊だけが生き残れる
世界がやって来る!!!
力のねェ奴ァ逃げ出しな!!!
手に負えねェうねりと共に豪傑共の…!!
”新時代”がやってくるのさ!!
フフフフフフ!!!
雌伏シリーズ;
仕事の変化(Business, Work, Vocation)
- たくさんのハードシングスがあった。
- 沈黙の裏で起こっていた、激動の5年間を振り返る。
家族の変化(Family)
- 人生で果たすべきミッションが、アップデートされた。
- 新しい家族の話もある。
健康の変化(Physical, Health)
- 食事、運動、睡眠、人間ドック、そして、心のメンテナンスについて
スピリチュアルの変化(Spiritual)
- 昨年には、半年かけてエグゼクティブコーチングを受けて、自分の内面を掘り下げる作業もした。
- キャンプ・アウトドアにも目覚めて、自然に浸る喜びを感じるようにもなった。
- 前述のとおり、神仏の世界や、人生哲学についての勉強をしていた時期もあるし、一定の視点を育てられたように思う。
知性の変化(Mental)
- 最近、家の積読を整理していて、何の気なく手に取り読む本すべてがドンピシャに当たっているので、少しだけ紹介しようと思う。
お金の変化(Finance)
- お金と資産形成のお話です。勉強する前の若き日の自分に向けて、ポイントを羅列してみました。
人間関係(Social)
- 個性と人の繋がりについて、散文的に書いてみました。