ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

来週の出張とトップの仕事の狭間で

Look Up

ぼくは同世代・同規模の経営者と比べて、出張や会食を(意図的に)少なくしている方だと思う。

毎日、出張や会食で予定埋めている人を見ると、「暇なんかな?」「趣味かな?」「順調なのかな?」と。そんな時間あるなら、会社のことに集中するか、趣味や家族の時間を豊かにしたいな、と思ってしまう。

 

単に人望がなく、出張や会食に呼ばれないだけ説もありますが(胸が痛い、、、)、個人的には、目の前の事業や組織に集中していればいるほど、外へ出て行く気力が減退する。

逆に、暇なときとか、集中しきれず迷いがあるときに、刺激や新しい視点を求めて、外に出向く機会が増えるように思う。

 

そんなぼくでも、来週には、数少ない出張のなかでも楽しみな出張がある。詳細は企業秘密ですが、地方でのどでかいイベントプロデュースです。

 

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スタートアップでは、トップの仕事は、採用、営業、資金調達だ、とか言われるし、そうやって会社を伸ばしていく人も多いので、その通りでしかないのだけど、いちいち疑い深いぼくは、それぞれキーとなる場面で力を発揮できれば、後は担当役員やミドルに任せたいなと思ってしまうのですよね。

 

  • 採用でいえば、役員〜マネージャークラスの採用には、当然、わたしも出て人間性をよくよく見ます。口説くときには、二次会でサシで飲んだりもします。
  • 営業でいえば、大型クライアントの偉いさんやトラブル時には、全面に出て対処にあたります。できる限り、新規開拓の紹介もします。
  • 資金調達でいえば、うちの場合は、大株主&オーナーへの対応になりますが、最優先事項で対処しています。

 

ただ、漫然と会食や出張を増やしても、これかを効率良くこなせるとは思えないんですよね。

 

もちろん、一点突破でTwitter採用がんばったり、ひたすらエンジニア界隈に顔出して人を口説くとか、VC界隈に顔を覚えてもらうとか、泥臭い活動としては、全然やるべき派なんです。トップがやるからこそ意味がある場面も多いと思います。外で目立つ必要があるココゾというときに、本を書いたり、メディアに露出増やしたりするのは、良い作戦だと思います。

ただそこには、但書きがあって、「自分たちのリソースが限られているとき」「自分たちの魅力が足りないとき」と。あと、トップじゃなくても、「みんなやろうぜ」ってこと。

 

立ち上げ初期なら良いと思うんです。無理にでもやって、会社をスケールさせないといけないから。

いつまでもトップがそこに時間を使っていたら、それは問題だと思うのです。暇で、趣味で、やってますならいいんですがね。

明確に、優先度あげる理由あったっけ?こんなに時間使う意味ある?って、いつも自分に問いかけてます。

 

 

本当は、トップが外でシャカリキに頑張るよりも、採用や資金調達が得意な優秀なシニア層に任せられるくらいの経営体制をつくるの方が100倍大事だし、外でがんばらなくても人材やVCの方から連絡が来る魅力的な存在になることの方が100倍大事なわけですよ。

 

違和感の正体は、そこにある。

トップが優秀で、動けば動いただけ、できちゃったりもするので、ハマります。成果が出るから、よりがんばっちゃう。気付けば、足元が疎かになっていると。特に社長が急にメディア露出増やしたとき、急に有名人やらお金持ちと交友を広げたときに、あるあるですね。

 

あと、実際、「みんな楽しいからやってるでしょ」、って側面もあると思います。楽しくないと続けられないですからね。

撮影現場、店舗、営業同行、行けば楽しいですよね、そりゃー。社員との絆も深まるし、良いことしかないのよねー、実際。

業界の偉いひとや憧れの起業家から薫陶受けながら、美味しいご飯奢ってもらえたら、楽しいですよねー。

それだけやってて良いなら、ぼくだってそうしたい。が、本当にやるべきことから気をそらしているだけなんですよね。だから、たまにで良い。

大企業ならいいのかといえば、いや、ほんと暇でしょうがないっすわー、って経営者います?孫正義すら走り回ってるわけよ。

 

 

 

じゃ、本当にやるべきことってなによ?といえば、

 

  • 社内の現場に出ること。
  • 任せて最後に残ったココゾという場面での外向けの仕事に出張ること。

 

ということに尽きるんじゃないかなと思っています。

事件は会議室で起きてない!現場で起きてるんだ!と織田裕二は言うけれど、会社で起きている現場は、まさに社内の執務エリアのことなんですよね。あるいは、チャット空間、mtgルーム。

 

重要な事業や組織にアテンションを割いて、役員部長マネージャーと一緒に知恵を絞り、議論を戦わせ、実践していく。日々の事業進捗や組織の空気をよくよく観察する。

そのなかで、必要とあれば、外に出て、クライアントに出向き、ユーザーの声を聞き、競合の情報を界隈から収集する。

 

こういう順番になるはず。

 

だから、会食は、社内中心になるし、出張は、どうしても会社として必要なとき、になる。

 

ゼロかイチかではなく、あくまで、優先度の話です。そういう時間の配分をするということです。

当たり前ですが、隙間を見て、マーケットを視察したり、クライアントと交友深めて思わぬ本音を聞いたり、それなりに外にも出る機会を作ります。

昔からの友人経営者やベンチャー幹部たちと、近況報告しながら飲むことだって、ままあります。

大事なクライアントとの会食をたくさんこなして、新しい発見や、次のリード獲得に繋がったり。中長期的な信頼関係を作っていくのも大事です。

酒の場で顔を知っている、笑い話で盛り上がった経験がある、というのは万国共通、大事なことで、お互いどんな人間かわかるので、安心感もあるから、何かあったときに話を持ちかけ易くなります。

だから、会社が順調なときには、いろんな場に顔を出して、自分のことをみんなに知っておいてもらうという活動をやった方がいいと思う。

 

ただ、やっぱり、採用のため、資金調達のため、クライアント開拓のため、に出張・会食を毎日のように入れるのは、どっかおかしいと思うのですよねー。そういうミッションの人か、社長が社内で1番得意ならいいんですがね。

 

 

まー、ここまで書いておいてなんですが、結果でしか評価されない世界なので、途中のやり方をあーだこーだ言っても仕方ない話です。

自分が正しいと思うやり方を、ブレず、逃げず、に貫いて、結果を残せばいいだけだなと改めて思いました。