ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

やり続けることの大切さ

Penguin Number One

前日の記事で、市場や競合の理解って、なかなか難しいよね、という話を書きました。予測や解釈が間違うだけならまだしも、自分の経営判断をそれで間違えてしまっては、元も子もない。ヨメないところは、正直、様子見するほかなく、あまり参考にしないのが良いことを学びました。

 

たまに参考になるケースは、戦略や打ち手の方向性は間違ってないし、アイディアも素晴らしいのだけれど、「やり切れていない」「勝ち切れていない」ものを見つけたとき。

 

たかだか半年でも、人は簡単に諦めて、少ない資本にもかかわらず、さらに他のことに手を広げ、打開したくなります。

 

同じことをやっていたド競合や先駆者が、気づいたら、勝手にリングを降りていた、という経験が沢山ありました。

筋はいいけど、コラボしている相手が微妙だったり、手広くやりすぎて全部微妙になっていたり、という事業・サービスもたくさんあります。

 

 

有名な話として、

Googleは12番目の検索エンジンだった 。

facebookは10番目のソーシャルネットワークだった。

iPadは20番目のタブレットだった 。

という。

 

 

必ずしも最初にやった、先発組で取り組んだ、ファーストペンギンが成功する訳ではないのです。初期にうまくいっているように見えたサービスや企業が成功する訳ではないのです。

彼らが成功したのは、時流に加えて、運にも加えて、正しく努力しきったことにあります。

 

 

嘘みたいにみんなが早々に諦めるので、「正しくフォーカスして、やり続ける」だけで勝ててしまうんですよね。もちろん、正しい土俵で、正しく戦っていることが大前提です。

 

みんな意外と「捨てること」「集中すること」「継続すること」の価値を軽んじています。

 

新しいことの方が、やっていて面白いし、採用も広報もしやすい、メンバーマネジメントもしやすい。投資家や家族友人からのアドバイスやプレッシャーもたくさんある。筋が悪そうなら、すぐに諦めて次々新しく仕掛けたくなる誘惑がたくさんあるのです。

 

 

うちの会社では、この3年間、ビジネスモデルのレベルで新しく取り組んだことは1つもありません。3〜4つの事業モデルを固定して、そこにしっかり集中して、ひたすら、それぞれを伸ばすことに専念してきたと思います。

そして、ようやく昨年末に全ての事業がバシッとはまり、会社全体でも大きく利益を出すことができたのです。

 

途中で何度も誘惑がありました。先行していた会社が、ほかの土俵に手を広げる姿を、羨ましく思いながら、歯を食いしばってスルーしてきました。辞めた幹部社員もたくさんます。それでも、勝てると見込んだ土俵で、当初の大仮説を進化させながら勝ち切ることに集中するのです。

 

 

当たり前ですが、1つの土俵で勝ち残るだけでも、いろんな工夫やチャレンジが必要です。だから、ビジネスモデルは固定していても、飽きることなく、むしろ、偶然や運を味方に、新しいことに取り組んできました。

難しかったのは、それが土俵際に収まるチャレンジングな取り組みなのか、土俵を変えるような取り組みなのか、を見極めながら、素早く優先度を判断して、見切りをつけていくことです。やっていくうちに、どうしても刹那的に手を出したくなる施策が出てくるのです。わたしも何度も失敗しました。

 

ただ、やり続けることで勝つことを知っていたので、時に、社員をデモチさせながらもストップさせたり、大変で気が乗らない大事な事柄に向き合わせたりをしてきました。

 

それができたのも、

これをやり切ってダメなら、世界中の誰も成功しない!

自分以外に、これを成功まで持っていける奴はいない!

というところまで、苦しみながら、迷いながらも考え切って、腹をくくることが必要でした。

まだ煮えきらず、判断に迷いがあるときは、どうしても粘りが甘くなります。考え切れていない仮説は脆いです。また、腹をくくるだけなら、アホでもできるので、蛮勇と確信を取り違えないように注意しましょう。

 

 

もし、いま、自分がやっていることがうまくいっていないとき、「やり続けることで勝てるかどうか」、一度立ち止まって、仮説の詰まり具合を確認してみると良いと思います。

そんな話でした。