母の病室とKindle本
最初に言っておくと、オチはないです。
先日、母の軽い手術の立ち合いで、千葉のとある片田舎の総合病院で半日を過ごす機会があった。
そのために休暇をとったので、平日片道1時間の電車に揺られる時間と、手術中の待ち時間を持て余すことになった。
母の手術は病気でも怪我でもないので、特に家族や人生について感傷に浸るという感じでもなく、年末年始に追われた家族対応と仕事初めのアドレナリンから弛緩して、久々にひとりの時間を持てたことに安堵すら感じていた。
手術前にランチに抜け出し、メール対応やテレカン1本をこなしつつ、のんびり千葉の広い空を眺めた。
厄介だったのは、手術中の家族待合室での待機だ。窓もない狭い部屋にソファーとテーブル、手洗いの洗面台のみがある、質素な空間に4〜5人が2時間ほど押し込められた。
携帯をみると、電波がなく、ゲームやネットサーフィンは不可。しかも病院によると、基本的に部屋から離れるなと。緊急時に捕まえるためだと思うが、ちょっとイケてない。
案の定、ほかの人たちは(年配の女性が多かった)ひたすら壁を見つめるか、目を閉じて寝たふりをするかしていた。もしかしたら大変な手術の最中で、気が気ではなかったのかもしれないが、皆目知る由はない。
困り果てた僕はというと、持参した本を病室に取りにいけず、期待した携帯ゲームもできず。唯一できたことは、予めダウンロードしていたKindle本を読むことだ。
しかも機種変更したばかりで、過去の積読が読めず、何気なくKindle Unlimitedで確保しておいた2冊のみが頼みの綱だった。
そんな状況に追い込まれないと読まないくらいの本なので、たいして期待はしていなかった。1時間ほどで1冊読み終え、もう30分でもう1冊読み終えたところで、ちょうど先生が来てくれて救われた。
知りたい希有なブログ読者のために、読んだ本を挙げると、2冊はこれだ。
楠木先生は「ストーリーとしての競争戦略」で有名になった人だ。本は面白かったが、一癖も二癖もある御仁なので、ストーリー〜以外のほかの本や記事は一切読んでなかった。
本書は、久々の楠木節で、エッセイ解説っぽくもあり、なかなか楽しめた。また読みたい本が増えた。
三戸さんは「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の人だ。ぼくは事業承継に関心があるので前著には目を通していたが、あまり頭脳タイプではないのでどうしても文章に薄さやムラを感じてしまう苦手なタイプ。
本書は、軽く読めるスナック菓子としては良かった。目新しさはないが、彼自身の経歴が語られつつ、資本ゼロでも志があればなんとかなる、という論旨には共感を覚えた。
帰宅列車のなかでは、新作携帯ゲームの素材集め周回を無心にやりつつ、途中帰宅ラッシュに巻き込まれながら、昼に爆食いした山岡家のラーメンに胃もたれしていたのでした。。。