ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

経験値の差を、妄想と累積思考量で超える

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photo by MadalenaPestana

以前、前職のコンサルティングファームでは、ある種、贅沢な時間の使い方をしていた。という話を書きました。
コンサルタントは、クライアントのみなさんと比べて、業界そのものや会社のビジネス構造の理解に、どうしても経験値の差があります。時に、10年20年単位であるわけです。
その差を何で埋めるか、と言えば、丁寧にクライアントの皆さんの言葉を拾って、裏側の膨大な経験に基づく思考を妄想することと、8週〜12週の累積思考量で埋めてバリューを出すしかないのです。
ただひたすら、PJTのイシューだけを考えていれば良いので、1ヶ月くらいあれば、24時間×30日 = 720時間を思考に使えます。
マネジメント層の方が普通に仕事をしていると、きちんと思考できるのは、せいぜい1日1時間が限界です。とすると、720時間は1ヶ月20営業日として、36か月=3年分、あるわけです。
3年あれば、ある程度、その部署でも中核を担う人材が育ちます。そこを1ヶ月で埋めに行く。
大げさですが、そんなイメージです。当然、社内のエキスパートナレッジは活用しますがね。自分の土地勘があまりない分野では必死にこんなことをするしかないです。


いまの事業会社では、正直、この勝ちパターンを実行するのが難しい、というのが悩みです。
同時に何個も案件を抱えながら、並行してマネジメントイシューに答え続けなければいけません。


では、どうするか。
マネジメント層の思考量を超えられるように時間を使うのはもちろん。
3つのことを意識しています。


(1) 6:4で判断する
(2) ツリー整理ではなく、発散&Go
(3) チームの力をレバレッジする


(1) 6:4で判断する

怒られるまで、6:4のジャッジで素早く動いてみる。
ある種、割り切ってやるしかない。
どうせ社内の仲間なので、怒られたところで、誤って、即良い方向に切り替えれば、時間ロスもなく、実は、最短距離を走っていることもある。
最初は気持ち悪いので、9:1にして、8:2にして、と徐々に判断材料を少なく、エイヤっ感を増やすようにしています。

(2) ツリー整理ではなく、発散&Go

1つ1つ丁寧にイシュー分解して、タスク洗い出して・・・って「王道」の進め方をするのではなく、
一気に、論点を広げるべく、思考を発散させて、選択肢を洗い出したら、優先順位を付けて、さっさと進めてしまう。
3点目にも活きてくるやり方ですが、網羅性をある程度担保しつつ、嗅覚で嗅ぎわける、という世界です。
事業センスが一番問われるところかなぁと思います。
あとは、発散系の思考と議論ができること+発散をまとめられること。可能であれば、発散役とまとめ役を分けて30分のMTGで決めてしまいたい。
そんなスピード感。

(3) チームの力をレバレッジする

自分が頭を使えないときに、代わりに頭を使ってくれるメンバーを育てられることは、最低要件であって。
チームのバリューを、2倍にも、3倍にも高められるような、マネジメントを実践すること。
さらに人を育てられる人を育てること。
ペイフォワードによって、組織の力を加速度的に高められること。
組織の中での影響力の範囲=射程距離を広く持ち続けられること。


そういうことかなと。