ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

リーダーについての戯言。

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photo by Atos International
おそらく、順調に壁にぶつかって、順調に悩んでいるのだと思いますが、島耕作の悩みがちょっとずつ実体験としてわかるようになってきました。
世の中のお父さん大変ですね。
うちの実家が自営業なので、こういう悩みを垣間見たり、想像すらできない世界のなかで育ったものだから、
よく子供のころは「サラリーマンって日中何してんの?」と両親に質問していたのを思い出します。
まぁ自分のことをサラリーマンだとはこれっぽっちも思っていませんが、客観的に見れば、それ以外の何物でもない訳で。唯一、都心に住んで、満員電車で通勤していないことだけが典型的なサラリーマン像との違いかなと思います。
休日は、ゴルフして、自分でコーヒー入れて、映画見て、マンガや本を読んで、マッサージ行って、ビールと2杯目のウィスキーを晩酌で楽しんで。。。
どちらかというとオッサン趣味の独身貴族なんでしょう。
体鍛えよう。


さて。思いのほか連作になりましたが、第三部です。
第一部「良い会社づくりとリーダーシップ」
第二部「組織設計について」
第一部で紹介した、いくつかのフレーズについて、実体験を交えて言語化しておきたいと思います。
意図的に散文になりましたので、意味不明な部分もあるでしょうが、自由に解釈ください。

組織やリーダーについては、ようやく思考の基礎が出来上がりつつあり、
 「”長の器”が組織の上限を規定する。組織の人数が100人と1,000人と10,000人と、求められる器量が全く違う次元にある」
 「人を育てられないマネジメントは失格」
 「信頼される/味方がいる、ってのは最低要件」
 「ストレスなく活躍できる場を提供できる」
 「抜群の問題解決能力は必須」
 「陣地争いに負けないだけの手腕が必要。できれば領土拡大も」
 「カルチャー大事。その組織だけでなく全社への貢献も含めて」
 「武器になるレベルの射程距離/間合いの遠さ。影響力の。」
 「採用、採用、採用」
 「最小限のコミュニケーションで、最大限のアウトプットコントロール」
などなど。巷の本のどこかに必ず書いてあることですが、原体験を伴う腹落ちのもとで、さらにビジネスマンとしてのレベルがアップしてきていることを感じます。
折角なので、次の記事で、1つずつ、自分の言葉で思ったこと/考えたことなどをつらつら書いておきたいと思います。(つづく……)

”長の器”が組織の上限を規定する。組織の人数が100人と1,000人と10,000人と、求められる器量が全く違う次元にある

書いたまんまなのですが、急成長する組織にいるからこそ、長の器について良い意味で考えさせられる機会に何度も出くわしました。こればっかりは、このフェーズにいる会社でしか論点になり得ないので、幸運でした。
社内には、良いお手本となるような人もたくさんおり、彼らとの議論をしていて身につまされた経験は1度や2度ではありません。
尊敬するyuzuruさんの記事『社長として成長するということ』を紹介します。

MBOをした、ということもあるのですが、最近では、ここで社長である僕が変わらないと、もしくは変わることができれば、このFringe81のメンバーが大成功を経験できるのではないかと思っているのです。
去年までは20人以下の組織だったので、ある程度社長+役員の個人商店的な能力でなんとかできていたと思います。
そもそもRSS広告の時代には、「いかにニッチトップになるか」ということが至上命題であって、Googleさんとの戦いもあったりで、「小さい組織で機動的に動いていけるか」という組織設計が重要でした。
そういうマネジメントスタイルが好きであった、とも言えます。が、これじゃあかんのです。
今年に入って既に派遣の方もいれて、50名を超え、プロダクトも第三者配信、タグマネジメント、トレーディングデスク、さらに新規プロダクトの開発、と、明らかに数年前とは違う組織設計をしなければいけないと思っています。
(中略)
社長が好き、なものと、会社の成長、というものをうまくバランスを取る必要がそろそろ出てきたステージなのだと思っています。
なので、この5月からは完全に意思決定や組織設計のやり方を自ら変えていこうと。
今まではスピードを優先し、役員陣の情報レベルや感度を合わせて、一気にニッチトップ、というマネジメント。これが好きでした。
これからは、現場のスピードは落とさないが、私は、じっくり熟考して経営していこうという感じに、大きな大転換を計ってみようと「くわだてて」います。

Fringe81ブログ

ベンチャー社長陣は、すべからく皆同じことを言います。会社の成長ステージに合わせて、自らも変わらなければいけない、と。
根っこには、会社を大きく成長させたいという想いがあるのでしょうが、なによりもこの記事で目が開かれたのは最初の「ここで社長である僕が変わらないと、もしくは変わることができれば、このFringe81のメンバーが大成功を経験できるのではないかと思っているのです。」という文章。
「会社が」大きくなるために必要ではなく、「自分のために集まってくれた人たちが」パワーを最大限発揮して大成功を経験してもらうために、意思決定のスタイルや、ガバナンスのかけ方を変えていく必要性に気付いたということです。主語が違いますね。


また、ベンチャーに限った話ではなく、思い返せば思い返すほどに、前職でお会いした大企業のメーカーや総合商社のマネジメントの方々は、やはり百戦錬磨で、当然、組織を引っ張るだけの器を既にお持ちの方ばかりでした。そういう人材でないと長に引き上げない、会社としてのメカニズムが健全に働いていたんだ、と改めて思い返してみて、その凄さに驚愕しました。
日々の反省の中で、自分の過去の経験を1つ1つ丁寧に眺めまわして、咀嚼するプロセスを何百回と繰り返しましたが、ようやくいまになって理解できた。という話です。
長の器”が組織の上限を規定する。
組織の人数が100人と1,000人と10,000人と、求められる器量が全く違う次元にある。
社長や組織の長が、慢心せず、自身の成長にもコミットしている企業は強いでしょうね。


人を育てられないマネジメントは失格

いまの会社は、日本の会社です。かつての外資のように完全な実力主義ではないので、細やかな何十項目にも及ぶスキルマトリックスが定義されている訳ではありませんし、up or outもありません。人の評価に関してズケズケとフィードバックすることは、人事制度上も働く人種としても難しいので、もやもやすることが多々あります。
カルチャーや制度として、勝手に人が育つような厳しい環境ではないことは確かです。
さらに、マネージャー以上の役割として、「人を育てる」ってのが明確にミッション付けされています。ファームは、乱暴に言えば、「育てる機会を与えるが、育つのは自己責任」という思想が根底にあります。メンターはいますが、固定的な上司はいませんし、自分で頑張る、以外に解はありません。当然、諸先輩方には色々な場面でアドバイスを頂き、大変お世話になりました。ただ、そういう機会を作り出すのも自己責任という意識を、社員全員が共通で認識しているか、否か。まぁ事業会社でも自ら機会を作り出すことの重要性は同じです。
事業会社のマネジメントとしては、部下のキャリアプランや適性を踏まえ、仕事を通じて丁寧に成長を促すこと、ひいては、組織が発揮できるバリューを高めてゆくこと、それ自体が自分の仕事の幅を広げ、評価をされてゆくメカニズムにあるとを理解しています。
優秀な人を採用し、育て、組織を強くし、事業を拡大する。
この単純なサイクルを、徹底的に回すこと。
偶然でも何でも結果を出した人が評価されます。
一方で、高額な給与や夢を見させて超優秀な人材を釣り上げておいて、成果を出し、一時的に評価を得るだけでは不十分であって。自分よりも優秀な人材を採用し、どんどん引上げ、自分はさらに上を目指す。成果を独り占めするのはもってのほかです。
人を育てられないマネジメントは、いくら優秀でもマネジメントたる資格はなきに等しいです。
自分が採用した人材が「どれだけ成果を発揮したか?」ではなく、「どれだけ成長して、永続的な組織の力になっているか?」を、常に意識して、チームに接してゆきたいものです。


信頼される/味方がいる、ってのは最低要件

チームのメンバーや部下と仕事をしてゆく過程を通じて、絶対的な信頼を勝ちとることは必須です。
自分がすべての責任を負うことにコミットし、それを目の前で実践してあげることで、周囲の人は安心して上司と認めてくれます。
日頃の些細なコミュニケーション1つも、部下は良く見ています。そこを怠ると、自分がミスを犯したとき、ピンチに陥ったとき、に味方になってくれる人間は皆無となるでしょう。そのことを強く意識する。
部下はあなたの道具ではありません。あなた自身を反映しています。
あなたのすべての言動が、部下を形作ると言っても過言ではありません。
部下の成長スピードやミスを嘆く前に、自分自身の下手くそなマネジメントを反省すべきです。


外資系はその点ドライなので、ダメな上司は突き上げられ、簡単に当人を飛び越えてイシューレイズされてしまうので、どんどん淘汰されてゆきます。ぼく自身も、
「上司に仕事をさせないのが自分の仕事」
「ダメな上司は突き上げてナンボ」
と思っていました。
そんな感覚から、普通の感覚の会社のメカニズムに組み込まれたわけですから、まぁ実態を見て、怖いな、と思う現場に出くわすこともあります。自分自身が渦中の潮目の役割をすることだってあります。
具体的なことは差し控えますが、何人か背景となる事情にも深く関わっていて、引き際の鮮やかな人と、往生際のカッコ悪い人と、両方を見てきました。
人事なんてものは日常茶飯事ですから、そんな大事ではないのですが、下や横の立場から見て改めて「信頼される/味方がいる、ってのは大事というか必須条件だな」と思った次第です。
良い評価をもらうため、というよりも、自分のサラリーマン人生を大きく左右するのは、得てして周囲の人間が然るべきタイミングで、然るべき発言をしてくれるのか、にかかっています。そういう因果応報を目の当たりにするたびに、誠実さ、公平さ、をディシプリンに持つべきであることを確信します。


ストレスなく活躍できる場を提供できる

人を育てる、という話と似ているのですが、自分のこの1年の仕事内容を振り返ってみて、上司に恵まれたな、と思うばかりで。本当に、ちょうど何かが終わるタイミングで、次々ともっと面白い案件を放り込んでコミットさせてくれる。
この一連の流れを自然とやってのけること。
会社の成長フェーズと、自分の組織の拡大/強化を合わせつつ、活躍できる場を次々と用意できること。
素晴らしいなと思います。
仕事のための仕事を作りはじめたら組織として終わってますが、ちゃんとやるべき大案件に絞り込んで、日常業務をないがしろにしてまで全社PJTを組成してドライブする。いつの間にか、日常業務もどんどん下に任せて、並行して回せるようになっているのがいまです。
一緒に働くメンバーに、ストレスなく活躍できる場を提供し、その経験を通じて成長してもらい、組織を強くしてゆく。この好循環を回す最初のステップが、簡単なようで難しいのです。


抜群の問題解決能力は必須

部下を信頼して、大きな仕事でも、任せ切る。とはいえ、途中、いろいろな障害にぶち当たるので、そこを力技でも何でも解決しきる。
バキバキに尖った優秀な人材を、頭脳でも、人間力でも、圧倒し続ける。特に、問題解決能力で他を圧倒する。それでないとついて来ない人材もいるのです。

  • 全社の課題を解決すること
  • 超がつく優秀な人材を惹きつけ続けること

この2点でもって、常々、「抜群の問題解決能力」が必須だと思うわけです。


陣地争いに負けないだけの手腕が必要。できれば領土拡大も

交渉術は、あらゆる場面で必要とされますね。自組織の信頼を勝ち取るべく、権謀術数の得意な輩から身を守りつつ、攻めねばいけない。まぁ大企業にいる凄い人から比べれば、敵も知れたものですが。
というか、ベンチャーで社内を「敵」とか呼んでいる時点で、その会社は終わってますわ。
いまの会社では、そんなことはないので。少しでも円滑に、スピーディに社内を動かすためにも、多少の交渉スキルは身につけておいて損はない、ということを思う程度です。無益な調整で時間を浪費していては、元も子もないので。下手なのはダメよ、ってことです。
どちらかというと、交渉術を駆使する相手は外が多いでしょう。人以外に資源のないITベンチャーでは、成長カーブをより大きく鋭く描くためにも、様々な会社と様々なサービスレイヤーで業務提供を活用します。
そんな巷をにぎわす交渉劇の裏側では、本気の人間同士の、アツイぶつかり合いがあります。
とある交渉案件に関わって、痛感しました。
詳しく書けないのが残念ですが、MTGで先方の偉い人に怒号を浴びせかけられたりもしました。こちら側とのあまりの温度差と、ほぼ徹夜明けのぼんやりした頭も手伝って、委縮するどころか笑っちゃう感じでしたが。
その時の光景は、いまでも鮮明に覚えています。本気で怒っていたのかもしれませんが、さすがに交渉術でしょうね、というのがいまの僕の解釈です。
その後も、前回のMTGの発言の解釈や揚げ足取りで(わざと)噛み合わない形を作って、自分が主導権を握り、相手を窮地に立たせようとする場面も多くあり、さすがにこちらが若いから舐められてるなと思いました。
こういう苦い経験が良い肥やしになるもんだ、と。


カルチャー大事。その組織だけでなく全社への貢献も含めて

組織のカルチャーは、組織長しか作ることができません。
会社のカルチャーなら、社長です。最近では、Yahoo!にマリッサ・メイヤーが入り、辣腕っぷりを発揮していますね。そういうこと。

 だが、何よりもメイヤーがやったことでインパクトがあったことは、「社内スタンダード」を上げたことだった。これまでならば18カ月かかっていたような開発は、3カ月で完了させた。製品の見た目や使い勝手では、これでもかと思われるほどディテールを検討して作り替えた。このディテールはメイヤーが最も得意とするところだ。色やかたちだけではなく、サイトの見えをピクセル・レベルで調整する。その際に、どれほどのユーザーがどのように使うのかをデータで把握して、それを裏付けながら作業を進めていくという念の入りようだ。
 そんなメイヤーのやり方に、最初ヤフーの社員は戸惑ったようだ。だが、メイヤーは容赦なく新しいやり方をヤフーに植え付けていった。そして、エンジニアたちは、集中して、みなで一気に作り上げるという熱狂を味わったという。今、ヤフーの士気は以前とは比べものにならないほど上がっているはずである。
 そして注目すべきは、メイヤーがこれだけのことを1年足らずでやり遂げたということだ。モバイル上のメールのトラフィックは、メイヤー前と比べて120%、天気予報は150%も上昇したという。世間の期待も大きく、ヤフーの株価は75%も上昇している。

“ガリ勉マリッサ”がヤフーにもたらしたもの:日経ビジネスオンライン

うちの会社のことを考えると、社長、役員以下とのやり取りを通じて、このカルチャーが根源にある限りは○○の変革は難しいな、と障害に感じてしまうことが多々ありました。経営陣含めて成長途上なので仕方がないな、というか、経験や時間が解決する部分もあるので、そういうときは無理に変える必要はないのだろうと思いました。
逆に、強みとして、こういうときは組織の力が何乗にも加算されて、得意パターンだよね、ということもわかる。そこを巧く使って、変革の推進力とするのが正しい。
組織の得手不得手は、カルチャーによって形作られるのです。


翻って、一つの本部、一つの部を取って見ても、会社のスタンダードとは別に各組織ごとに独自のカルチャーを持っているものです。例えば、財務や経理にベンチャースピリッツを発揮されては会社が破たんしますから、当然と言えば当然です。
組織のミッション遂行のために最もふさわしいと思われるカルチャーを、長が意識的・無意識的に作り上げてゆくものです。それは、組織に属する人たちとの共同作業で、互いに影響を与え合いながら、時間をかけて形成されるもの。
頻繁な組織変更をしていては、根付くべきカルチャーも根付きません。
大規模な組織再編を行う際には、カルチャーにも気を遣いたいものです。
また、社内に強烈に成功する組織が出来上がれば、業務を通じて、あるいは、そこから人材が他部署に散らばり、カルチャーが伝染してゆくものです。そういう意味で、全社への貢献、という視点を持って、自分の仕事の仕方や部下に根付いているカルチャーを冷静に分析しつつ、愚直に影響力を行使し続けることもまた面白いかなと思っています。


武器になるレベルの射程距離/間合いの遠さ。影響力の。

僕の個人的な趣味というか、好きなことなんですが、「たった一人で会社を変えるのは無理」と思うのではなく、
「自分が作った資料が広く社内に展開されてるってことは、その1文1文で1人1人に影響を与えられる」と考えています。
だから、ニュアンスにこだわり、受け手への分かり易さ、受け手の解釈の仕方までを想像しながら、メッセージラインやエグゼクティブサマリーを書いている瞬間が一番好きです。
なにも資料に限った話ではなく、度重なるMTGでの議論や、何気ないタバコでの軽い議論を通じて、自分の思想や考えを植え付けることもできます。


「自分のチームの射程距離を意識する。」
これだけで格段に仕事が面白くなるものです。仮に僕のように事業サイドというよりも、コーポレート側の人間だとしても、事業貢献することができるのです。
さらに、ポイントは、何よりも、焦らず、根気強く、ジワジワと影響力が浸透するのを管理することです。
評価は後からついてきます。
すべての機会において、全力でバリューを出すこと。
役員レベルの人から「こう思うんだけど、どう思う?」とフランクに意見を聞かれるようになったらシメたもの。全く関わりのなかった部署から「この資料のこのデータについて聞きたいんだけど」といつの間にか適切な人に資料が届いていたらシメたもの。
そのためには、中期的に正のフィードバックが返ってくるように、どんな人が相手でも誠実な対応を徹底すること。その場しのぎの対応をしないこと。


採用、採用、採用

人をたくさん獲れって意味ではありません。
ナレッジやノウハウが集積し、人が育ち、次のリーダーが生まれ、組織が永続的に競争力を磨き続けられるためには、何よりも採用による「人材のマッチング」と、「期待値コントロール」が重要ということです。
採用のミスマッチや、期待値の乖離が、後々に判明してくるのが本当に痛い。
やりたいこと、やるべきことが明確になっていても、組織にその遂行力がない。
これ以上の機会損失はありません。
マネジメントとしては、組織作りに失敗しているのと同義であって、身を切るような痛みが走ります(僕だけ?)


また、「採用から始まる組織づくり」は、マネジメントの最も重要な仕事の1つです。
ちょうど『ライフネット生命 出口治明さんに聞く、最強チームの作り方【前編】』の記事が言い得て妙です。

変わり続ける社会環境をよく見て、その時々にあった人の配置を行う。それが強いチームの作り方です。何でもできる人はそうそういませんので、メンバーの適正を考えながら、変化に応じてチームを作っていくことを再優先すべきです。
(中略)
まずは私が考える「マネジメント」の定義を示しておきましょう。マネジメントとは「人を使う」ということです。今どの方向に風が吹いているか、社会がどの方向に変化しているかを見極め、上げ相場なら強気な人を前面に立てるというように、チームを構成していくことがマネジメントです。「人を使う」ためには、世の中をよく見て、手元にある石をどう配置すればワーク(機能)するかを考えなければいけません。

マネジメントは「管理」であり、「人をうまく活用して仕事をすること」を意味します。マネジメントは社長だけでなく、部長や課長といったチームを率いる人が備えておくべきもの。サラリーマンの仕事の延長線上にはない、別物の仕事だととらえるべきです。

ライフネット出口治明さんの最強チーム論――「とにかく頑張れ」「名刺100枚もらってこい」は有害無益 | ベストチーム・オブ・ザ・イヤー

この記事、素晴らしいですね。
会社の成長カーブや、置かれた事業環境を見据えて、1年後、2年後の組織作りをしておくこと。
人に関しては、予測が外れるってことは、あってはいけないので。仮に予測がはずれて組織が不要なものになってしまえば、その人たちの1年分の時間を奪ったことになるわけですから、絶対にはずしてはいけないのです。
変化を見極めること。
さらに、会社の中での自組織の位置づけを柔軟に変化させつつ、何としてでも、1,2年後の事業環境下で最大限のパフォーマンスを発揮できる組織を作り上げておくこと。


最小限のコミュニケーションで、最大限のアウトプットコントロール

時間の使い方の話です。
いまも工夫を続けている最中ですが、時間の使い方とコミュニケーション効率の上げ方が本当に難しい。コンサルタントとして時間や効率を追求するのは、ばりばり体育会系の有無を結わさぬ、納期と質の期待値設定が背景にあります。ある種、似た価値観が共有できているから成り立つものです。
一方で、事業会社の中では、そもそも納期や質に対する価値観が全然そろっていませんし、期待値がそこまで強く共有されている訳ではないので、どちらかというと事業貢献やマネジメントニーズに応えられるかどうかが純粋に期待値バーとなります。いつまでに、なに、というよりも、究極的には質が低くても、周りが使いやすく事業ドライブしやすい資料や、マネジメントの考えがちゃんと絵に落ちていることの方が優先度が高くなります。
もう少し具体的に書くと。2つあります。


1つは、「働く人の多様性」です。
9時5時で働く世界とまではいきませんが、周りの人が必ずしも24時まで働くような環境ではないことは確かで。仕事へのコミットメントも人それぞれです。いま思えば、ファームにいる人間は、やはり少数マイノリティの集まりだったのだと再認識します。それぐらい働き方や価値観に相違がある(逆に、ファームの多様性は幅が狭い)
最初の頃、期待通りの納期とアウトプットの質、どちらも担保されない人たちがいて衝撃を受けたのですが、まぁ、そりゃいま思っても期待値高すぎたのかもねと思います。徐々に自分が持ってる期待値のバーを下げて、譲れないギリギリのラインを見極める技を覚えてきました。
中途で入社年月も1,2年以内の人間が大半の中で、思い思いにいろんな人がいろんな技を繰り出すわけですよ。
”おっ”と思うこともありますが、逆に、お互いに考えを理解するのに時間も多くかかります。コミュニケーションをミニマムにしないと、自分が業務におぼれて死ぬだけなので、何としても効率性を担保しないといけないわけです。
基本、コンサルタントの頃とやってることは同じなんですが、前提条件が違うので、細部が異なってきます。


2つ目は、「仕事の中身の変化」です。
アウトプットに結びつかない仕事もそれりに多く発生します。稟議あげたり、契約書チェックしたり、3つくらい別々に走らせているPJTを管理したりと。そういう付随業務が侮れない。
また、部下を持って、或いは、部署をまたいで関係する人数が増えたことによって、1on1のコミュニケーションだけでハンドルしきれない部分が多くなってきました。
「管理業務が増え、見えない人を動かさなければいけない」
そういう仕事の仕方を覚える時期に来たというだけなのかもしれません。



以上。
そして、思考は進み...(つづく)