ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

会社経営へのコミットメント

会社経営へのコミットメント

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photo by { jess }
お待たせしました。ようやくブログを更新することができます。
このブログは、毎年月1更新の緩い目標を掲げてきちんと達成していたのですが、今年はそれすら達成が厳しそうだ、、、と思いつつ、何とか1本のエントリーにまとめたいと思います。

さて、どこから書いていいものか。。。
いまは毎日毎日、社長含む役員陣から「yo4ma3のこの会社経営へのコミットメント高めること」を求められ、頭がおかしくなりそうです。


いきなり何のことかわからないと思うので、少し振り返ってみましょう。
4月に書いた記事の中で、社内の大きな事業の運営と組織作りに没頭した結果として、ミンツバークの言う「戦略クラフティング」をやっている、という話を書きました。この頃は、組織の熱量がジワジワ上がり始め、改革の手応えが現れはじめていた楽しい時期でした。事業内のミドルマネジメント以上には、共通の価値観が醸成され、クリアに目指す先の共通認識を持てる状況までようやくたどり着けたかな、という感触でした。

事業と組織の運営が、すべて。 - ignorant of the world -散在思考-


この記事からもう6ヶ月以上が経ちました。
その間に、皆さんにはお伝えしていないことが山ほど起きています。
どこから話していいかわからないほど自分でも整理がついていないのですが、とりとめもなく書いてみようと思います。

2014年4月~6月

部内の体制変更を経て、徐々に自分の色を出して部の運営を始めた期間です。

  • 中期方針の軌道修正と戦略転換
  • 事業部長陣との合宿
  • 某コピーライターさんと一緒にお仕事(おもしろかった!)
  • 1年間の予算策定を無事完遂
  • 部内の再編
  • MBOと人事評価
  • 新しいアシスタント(秘書)の採用、etc...

いろいろやっています。ただ、3月以前に比べれば没頭している感覚は薄く、心理的・時間的な余裕があった時期だったなと思います。マネージャー陣を中心に組織がしっかり回るようになってきたので、僕自身が何か具体的な案件で汗をかくことが少なくなってきたためでしょう。
また、さすがに30名を超えると1人1人の細かいところは見れなくなり、遠い間合いで組織を動かしつつ、クオリティを上げて行くということにトライしていました。それはそれでチャレンジングではあり、一定の成果を残せたと思います。


もう時効だと思うので書いてしまうと、
実は、6月頃には、この会社でやるべきことを終えて、一段落ついた感=自分の中で責任を果たした感が生まれていました。
10ヶ月かけて、会社の利益の150%以上を稼ぐ巨大事業の予算を回しながら、中期の事業戦略および計画を作り、戦術を練り込み、●百人の組織の安定化を実現しました。もちろん、事業責任者はもっと偉い人なのでその人の気苦労に比べれば屁みたいな苦労だったと思いますが、それでもやり切った達成感を持てるほど、コミットメント高く事業・組織運営に取り組んでいました。
あとはやるべきことを粛々と進める、前向きなモードに切り替わり始め、自分の部内のメンバーにも更に成果にコミットするようハッパをかけていました。
「最後までケツを拭け!」
とよく吠えていたのを思い出します。
ただ、心のなかでは、さて次に何しよう?と考えていたのは事実で、世のなかの次のオポチュニティも当然探し始めていました。今後もどうなるかわかりませんが。


そんな矢先。

2014年7月~9月

衝撃が走る。
しかも、2度。


詳細は割愛しますが、ここでの学びは強烈でした。一生忘れないでしょう。
多様性のマネジメントや、組織再編の説明責任、会社としての求心力に関して悩み尽くした経験は、やはり当事者になってみないとわからない景色です。
社内で色々な偉い人たちに懐柔され翻弄され、一時期は心を失いながらも強烈な義務感で悩む日々を送っていた時期もありました。ほんの一瞬ですがね。
その中で、自分が、心の底で大事にしていること、価値を感じること、譲れないこと、が改めて浮き彫りになったのは、結果としてもの凄く良い経験になりました。


また、この頃は、毎日のように社外の諸先輩方や元同僚と飲み歩いていました。2年半ほど音信不通になっていた交友関係を再び活性化できたのは良かった一方、体重増量と内臓痛めたのはマイナスでしょうか。ほんの2-3ヶ月前ですが、いまとなっては懐かしく、遥か昔に感じます。
ただ楽しく飲めるだけで救われるときもあり、皆さんに助けられていることを感じました。

2014年10月~

事業再建の目途が立ったので、今度は全社の「経営企画」部門を率いる立場になりました。
懸案だった事業課題の解決を推進してゆくなかで培ったぼく個人の社内人脈・経営陣との関係性・経験知を買われ、全社側に舞い戻った形になります。全社→事業→全社と。
そういう意味では、10ヶ月ほど現場に武者修行に行かされていたとも見えるかもしれない。
否、会社の経営をより良い方向に持っていくために、という大義名分の下で、実は会社の一番面倒な部分を毎回押し付けられているだけじゃないか。。。


まぁ、どう解釈しても結果は変わらないので粛々と拝命し、より良い方向に動き始めてしまうのは、プロフェッショナ・サラリーマンの性です。
むしろ忘れていた管理部門側のカルチャーは、実はホームグラウンドでもあり、懐かしさや居心地の良さも感じています。だから、必ずしもネガティブな話ではなく。ブログには書ききれないところで、完全にポジティブとも言い切れないのが心苦しいところです。


いまは、全社の戦略・計画・組織の企画機能、および、グループ会社経営やコーポレートガバナンスの実運用改善、経営会議を中心とした経営サイクルの運営・推進、などを行っています。
具体的には、10月就任早々から役員合宿のファシリテートを無茶振りされ、以来、毎日3時間、社長・常務の悩みに付き合いながら、足元は日々の経営を回しています。従来通りの実務上の戦略立案推進機能に加えて、法務、財務、税務、情報などのHQ機能への幅広い知識を求められ、当初はヒーヒー言いながら脳みその疲弊度合いも半端なかったですが、ようやく慣れてきました。


部の規模は、一気に1/5~1/6に減りました。マネジメントコストが激減した一方で、チーム作りの難易度は上がっています。うちの会社の場合、経営企画は事務局的な業務ばかりで、陰口を叩かれながらも最後の砦として殿を務めていた少数精鋭部隊です。
(経営企画部の歴史を語るだけでも、1エントリーに収まらない。。。)
ぼくがトップになったことで、ようやく少しずつ表舞台に出る場面が増え、メンバーに対して活躍の機会を与えられるようになってきたのは総じてポジティブです。


ただ、心を痛めることも多くありました。
以前の部署を発展的に解消しています。解消プランを作るだけで2週間ほど朝から晩まで悩みつくしました。それだけ考えて実行したプランでしたが、結果、チーム1個分のメンバーが離職するという痛みを伴うものとなりました。また、新しい部においても、もともと少数だった元メンバーのうち、半数が異動や離職で離れることになっています。
こういう場面に直面するたびに、自分の無力さを痛感しつつ、一方で本人にとって一番良い選択になるならば仕方がないな、それは長い時間軸で考えれば何が最善の選択なのか誰にもわからないな、とやり切れない気持ちになります。
唯一自信を持って言えるのは、各メンバー1人1人と深く話をしていると、組織再編や人事異動はあくまでキッカケにしか過ぎなくて、それ以前に信頼関係や自己実現感などが薄れていることが本質的な課題だということです。
彼女に「仕事と私、どっちが大事?」と聞かれるのと似ていて、そういう申し出があった時点で勝負が決まっているのです。

これからのこと。

さて、10月には30歳を迎え、心理的な変化もありました。
「まだ30なのか!若い!」という反応には慣れっこで感覚がマヒしていましたが、自分でも「この前まで20代だったのか!わけーな!」と思うほどに30の重みを感じています。同時に、自分の部下や仕事で付き合いのある人たちの多くが35歳前後の年次なのですが、よりリアルに彼らとの歳の差や価値観の差を感じ、これまでの自分の行いの至らなさや未熟さに対する懐の広さに感謝しつつ、一人風呂場で猛省を繰り返す日々を送っています。




自分にとって、幸せとは何か。
盲目的に信じていた価値観は、どれだけ人生を豊かにしてくれるのか。
本気で精魂尽くして、成し遂げたいことは何か。
など。
気が付けば、20代の日々の生活の中で意識的に考えてきた、これらの質問に対する答えも少しずつ変化してきています。


正直、この1年ほどは、会社のなかで責任が重くなるスピードがあまりに早く、また、目の前に立ち上る課題の大きさがあまりに計り知れず、昔ほど日々の学びや今後のことについて考える時間を取っていませんでした。正しく言えば、時間はあるが、脳みそが動かなかった。余裕がなかったような、刺激や課題認識が弱かっただけのような。自分が汗をかく必要がなくなって、正しい疑問を持てなかったような。
わかりませんが、そういう日々でした。
改めて年末年始に向けて、内省モードに切り替えようとしています。


40歳までの10年の計。
直近5年間だけでも、登った山の高さに自分でも驚き、先の5年を憂いています。いまの会社に転職した2年半前ですら、経営企画を任され、経営の中枢を素手でコネコネ触るような立場になるとは思い描くことができなかった訳ですから。
10年ともなると全く想像だにできず、途方に暮れてしまう。


だからこそ、1年前にも同じように「縁」や「偶然」を大事にする、という記事を書きました。
読み返してみると、まだまだジュニアな発想丸出しで恥ずかしい文章に仕上がっているなぁと思いますが、根本的な考え方はいまでも変わりません。

縁や偶然を大事にする生き方 - ignorant of the world -散在思考-


たった1年間にジェットコースターのような日々を送り、いまでは当時の思考を再現できないレベルまで先に辿り着いているのは、やはり進歩の証。
同時に、成長カーブが緩やかになっている感覚に対して“健全な焦り”を覚えていたはずが、いつの間にかそれすらも徐々に薄らいでいるのは次のステップに進みつつあることを予感させます。

余談

事業運営・組織運営の立て直しをやるなかで気づいた個別テーマについて、もっと語っておきたいこともあります。
さらに、これらの経験を踏まえて、新しい経営企画のあるべき姿や、経営そのもののあり方についての検討も深まっています。
毛色を変えると、ベンチャー界隈の投資環境の変化についていち早く感じ取ることができているので、その辺に一言言っておくか、とか
いろいろ実はドラフトも書きあがっていて公開していないものも多いので、年末まで1本でも多くupしたいと思います。

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1年以上放置していました。今後は、最新情報を上げる(かも)

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