でもやっぱり、社長の仕事は、決めること。
前回の記事「社長の仕事は、「会社を理解すること」」と書いたばかりで、逆のことを言うようですが、もう少し意味合いを解きほぐして別視点から記事を書きたいと思います。
経営者の本音の悩みを聞く機会というのは、そうそうありませんが、彼らも僕らと同じようなレベルで不安や悩みを抱えています。
「論理的に考えれば、これはやるべきなんだけど・・・」
「やると決めないと、物事が何も進まないことをわかっているけど・・・」
この言葉にならない「・・・」に苦悩が詰まっています。
こんなことを本当にやっていいのか?
やったときのダメージはどんくらいか?
リスクの見積もりに漏れがないか?
これをやるとあれを失うが大丈夫か?
不満をもつ人にはどう対処しようか?
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ロジックだけでは解決しきれない、様々な想いが駆け巡ります。
突き詰めれば突き詰めるほど、経営者としての己の価値観や、人としての倫理観に基づき、「ダメ」なものはダメと線引きする世界に入ってゆきます。
前回の記事で、エイヤ!と決めるだけならアホでもできる、と書きましたが、
ロジックを突き詰めて、「合理的な解を導き出す」。
同時に、上述のような迷い、悩みを全部ひっくるめて「決断する」。
このレベルを、経営者の意思決定である、と言うならば、それはもはや会社を理解する云々のレベルを超えて、
経営者の仕事は、意思決定すること。
と言えると思います。
中間管理職レイヤーでも決めれることはありますが、限界があります。
経営に大きなインパクトを与える以上は、責任を取ることができる経営者が、意思決定しなければなりません。
そして、最後に決め手となるのは、経営者の想い、です。
すごく当たり前のことを書いているように見えますが、どういうことなのか、裏のメカニズムはこうです。
戦略や施策の意思決定とは、突き詰めると、「これで行くんだ!」と「これを実行できるんだ!」ということを合意することです。
議論が紛糾すればするほど、
- どこまでハードな決定をするのか?
- そこまでして追い求めるものがあるのか?
- その想いについてきてくれるだけの求心力を持っているか?
を問われることになります。
そういう意味で、毎度、結局は決める人の想い一つで結論が変わるなと思うわけです。
なので、意思決定をサポートする役割として、経営者の温度感を常に把握するように努めています。
ここで面白いのは、「これはイケるだろう」思って議論に乗せると、思いのほか懸念を示したり、躊躇するときがあります。逆に、「これはさすがに・・・」と思って低めに球を出すと、ぐいぐい来られるときもある。
そういうときほど、その人の苦悩や本当の課題を話してもらえるもので、僕としても経営に関する理解が深まります。
僕は、敢えて、高めの球/低めの球を出して、マネジメントの考えを試すことをします。当然、イシューを外し続けると、使えない奴なので、小さい案件については淡々と核心をついて進めてゆきます。チャレンジするのは、大きい球のときに限っています。極に振るからこそ、新しく見えてくるものがあり、みんな初めての未知の領域を探索し続ける状況に置いては、有効に働きます。
互いの信頼関係があって初めてできるものなので、安易にやらないでほしいですが、
意外と、意思決定者の右腕として働いている人は、コレをやっている人は多いです。
マネジメントと苦楽を共にしつつ、会社の変革に取り組む仕事は当分続きそうです。
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