ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

考える次元の数 (※補足を追加)

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photo by Ðenise

今日は、僕の思考力の秘密を1つ明かしたいと思います。


普段から、同僚から言われた言葉で、特に印象的なことについては、寝る前に必ず何度も反芻しています。
中でも、最近言われたことでは、


「ちょっと思考の次元が高すぎるわ。紙に落とせないもん。ちょっと1時間くらい整理させて。」


ほう。
ちなみに、これを言ったのは、↓これと同じ人。

先日、ファーム出身の5つくらい年上の同僚に
「yo4ma3ってさー、修羅場くぐってる数違うよねー。
同い年の普通の人の5倍くらい死線を超えてるっしょ?マジで。うん。」
って言われて、ハッとしました。
確かに仕事の修羅場は多かったけど、ファームじゃ普通かなと思ってた。普通じゃないのねそれも。


「思考の次元」って意識したことありますか?

文字通りの「次元」

「思考の次元が高い/低い」
と書くと、比喩としてレベルの高い、低い、の話をしているように聞こえるけれど、そんな難しい話ではありません。
文字通り、1次元、2次元、3次元、、、の「次元」です。


実を言うと、この同僚の分析は正しくて。
「立体的に考えること」を、常に意識して、思考を磨きあげてきました。
以前、思考についてエントリーにしましたが、
「物事を、きちんと、深く、考えられる」人になるために - ignorant of the world -散在思考-
深く思考する、その先には、次数を上げて思考する世界があります。


僕も最初は、2次元の世界が精いっぱいでした。
よくコンサルタントがフレームワークを作りますが、あれが「2次元」です。とりあえず、意味のある2軸で切って、4-10象限に物事を整理して、気持ちを(思考を)落ち着けるたけの道具です。
ただし、この2次元の中だけで考えて、フレームワーク化しているレベルは、物凄い低レベル。
裏側に、3次元、4次元の思考がないと、本当に価値のある整理はできません。



「次元」を身に着けるまでに。

入社後、2年くらい、マネージャーの人から、こんな言葉を浴びせ続けられてきた。


「まだまだ2次元で考えてるなぁ(はー)。3次元に、立体的に考えないと、面白い仮説(戦略)考えられないよ」


「はーーーーーーーーーぁ。それさー、全然面白くないよね。」


「同じMTG出てたよね?なんで考えれてないの?むしろ、僕より情報持ってるよね?サボってるでしょ?」


「綺麗にまとめました、って感じ。事業会社の経営企画の優秀な人、って感じ。誰でもできるよね?全然、足りないな。わざわざコンサルタントに頼む仕事じゃないね」


「今日はもう帰っていいよ。後やっとくから」


「うーん、違うなぁ、それ。クライアントの○○役員が言いいたいのは、xxでしょ?彼の言う言葉を丹念に拾うと、結局、▲▲ってことが言いたいんだよね。
だから、こっちの仮説とか、あっちの仮説にしないと、全然刺さらないし、バリュー感じてもらえないよ」


「いっくらクライアントの社内の優秀な人が考えても思いつかないことを、
PJTの短期間の間に、考え尽くして、新たに創り出して、それをドライブする。ここまでが仕事でしょ?
2次元で考えてたら、クライアントと同じだよね?それでバリュー出したつもりなの?よく寝れるね」


「イイねー!これなら、3次元で考えてる感じするよねー。
それだったら、こうしたらどう?とすると、あっちかもねー」


「いい感じ。いま4次元くらいだから、もうひとヒネリだね」


「それ面白いね!2次元で考えてると思いつかないわ、それ。コンサルタントのバリュー出てる出てる」


などなど。思い返せば、まだまだ出る。
こんなフィードバックを、毎回の議論やMTGで、言われ続けてきた。
僕は、その言葉に、いちいち、真面目に悩んで、禿散らかしながら、育ってきたものだから。
いつの間にか、当たり前のように複数の次元で考えを進めることに、慣れきっていたのかもしれない。

具体的に、なにが違うのか

例えば、商社や大手メーカーのマーケットエントリー戦略を考える場合。
論点は、「どの地域の、どの事業ドメインに、どういう順番で展開すべきか?」です。
優先順位を考えるために、ある程度の収益規模を持つ市場(事業ドメイン)を切り分ける必要があります。
良く使う軸は、「地域」×「バリューチェーン」×「価格帯」の3軸です。この時点で既に、2次元を超えてしまっているのですが。。。立方体の中で展開ステップを検討するイメージを持ってもらえればと思います。
通常は、バリューチェーン上のどこを攻められるのか、だいたい自社のケイパビリティが制約となって決まったり、地域展開もある程度の事業基盤のあるところに限定されるので、そこまで複雑にはならなりません。
但し、新規事業で、かつ、キャッシュも潤沢、M&Aも選択肢に入れる、となった瞬間に、思考の自由度は∞(無限大)に広がります。
そんなとき、思考の次元によって、考えるステップや導き出す答えに差が出てきます。

1). 2次元の人の思考
  • 3軸の中で、どれか制約条件がないだろうか?
  • 軸の優先順位を決めて、順番に方程式を解けないだろうか?
  • 最初から切り捨てられる領域はないだろうか?
  • とにかく、仮説を持とう!

こんな思考になります。順番にロジカルにファクトを押さえつつ、分析を進められれば、十分立派な戦略家と言えるでしょう。
ただし、3次元以上の思考ができる人とは、頭の使い方が違っています。

2). 3次元以上の人の思考
  • どこから展開すべきか、って、どういう検討ステップで決めるべきだろうか?
  • 時間軸によっては、展開の順番が変わるんじゃないか?
  • そうすると、3軸で十分だろうか?他にも考慮すべき軸はないか?
  • 3軸で市場の規模/成長性は評価できるとして、自社の事業基盤の強さ/競合優位性を考えないと、優先順位を決められないのでは?
  • その地域の人・企業との「親和性」や「展開スピード」、「競争環境」を軸に入れられないか?

こんな思考になります。最初の3軸を所与のものとしないばかりか、積極的に、自分で複雑度を上げて、さらにその中から正しいもの、意味のあるものを選ぶことに、思考の労力を使います。
冒頭紹介した同僚の発言は、↑のような問いかけを2人で議論しながら、整理していたときに発した言葉です。


当然、1) 2次元の人の方が、初速が早く、ガンガン仕事ができる風に見えるでしょう。
一方、2) 3次元以上の人は、初速があまり早く見えません。それでも、マネジメント向けに議論をぶつけながら、全社で合意形成してゆくには、これくらいの準備が必要です。1)の人では、底が浅く、議論を無理矢理押し込むくらいが関の山でしょう。2)の人は、役員の質問や意地悪な切り込みに対しても、さらに意見を昇華させた状態で切り返すことができるでしょう。
この違いです。
言われた通りのフレームの中で頑張る単なる高級派遣の作業屋さんと、
マネジメント層と事業責任を一緒に分かち合い、とことん考えつくす戦略家との違いです。

「次数」を上げて考える癖

思考の次元を上げること。
めちゃめちゃ苦しいです。実経験として。
でも、できるんです。これも、実経験として。
人は、僕のことを面倒くさい、と言う。
最初からそんなに複雑に考えても進まないじゃん、と言う。
とりあえず、ここをやろうよ、と言う。
進めてから、あとで直した方が早くない?と言う。
その気持ちも、とても良くわかる。だって、僕もそうしたいから。
でも、敢えて、面倒な複雑な次元で考えてしまうのは、そうしないと「意味がない」ってことを知っているから。


言われたことだけやって評価されれば満足する態度の人と、本当に、自分事化して、当事者意識で持って、意思決定をサポートしようとする態度の人との違いです。
溝は、思っている以上に深く。差は、思っている以上に大きいです。
さぁ、どちらを選びますか?

補足:複数次元で同時に考える

↑の文中では、市場や事業ドメインっていう、分かり易い例を挙げましたが、
同僚と議論していたことは、全然違います。
具体的には、PJT 残り20日間の進め方と、閉じ方を議論していました。
単にPJTのワークプランを作るだけなら、逆算ですぐに書けるのですが、
今回は、

  • PJT継続も見越しつつ、何をどこまでやり切るのか?
  • 最低限やり切るべきことを、複数同時に、細かいステップに分解して、何をどういう順番で依頼/作業/検証/アウトプットまとめるのが最も効率的か?(半日ズレるだけで、間に合わないくらいのタイトなスケジュールなので。)
  • 最悪、報告日をズラす選択肢もありなので、現実的な最短距離はなにか?
  • 検討課題の中で、本当の本当に先に処理しなければいけないものはどれか?同時並行で良いものはどれか?後に持ち越して良いものはどれか?
  • マネジメント向け、事業部向け、内部向けの最適なコミュニケーションプランは?

なんてことを考えていました。


次元の数を上げるだけでなく、上記の方程式を同時に解かないと、答えが出ないものです。
1つ1つ解いていては、最適解にならない、そんな問題です。
ややこしかったのは、細かい作業ステップが、もの凄く複雑に絡み合っていて、相互に依存し合っているものが多かったことです。(まぁ、具体的に書かないと想像つかないと思いますが。。。。)


この補足で、何が言いたかったか強引にまとめると、
考える次元の数を上げる、ってのは、単なる「軸選び」なんていう短絡的な話ではなく、

  • 次元を上げること

かつ、

  • 複数次元を同時に考えて最適解を求めること


この2つを同時処理することですよ、ってこと。
「単なる軸選びでしょ?」
と思った人。甘いよん。

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