ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

経営合宿でのチームビルディング

Camp fire (b&w)



先日、1年半ぶりの経営合宿を行ってきました。どんなことを議論してきたのかを、メモを兼ねて書き残しておきます。

 

 

2019年は、すったもんだ色々なことがありました。事業は成長しつつも、内部変革を進めた大変な時期でした。

一言で言えば、苦難の再生期、と認識しています。

 

振り返ると、とにかく目の前のクライアントの皆さまや、ユーザー、お客さまに価値のあるサービスを提供すべく、1人1人がサービスのクオリティ向上と、信頼関係の構築に専念し続けてくれました。

組織の大変革前後のネガティブな空気を跳ね除けて、見違えるように風通しの良い、連帯感のあるチームが増えてきて、本当に嬉しく思っています。

ぼく個人としても、これでダメなら諦めがつく、くらいにまで考え切り、先陣を切って泥臭く改革に手を入れたので、いまこの瞬間は、やり切った感を覚えています。

 

一方で、再編時に、約8割の部長、マネージャーを新任で抜擢しました。

当時は、この改革を前向きに押し進められる布陣だけをしいて、みんなにも、まずはそこに専念してもらってきたので、経営チームとしての一枚岩、信頼関係の構築を劣後してきてしまっていました。

また、短期的な改革と成果を追い求めるあまり、中長期的なチャレンジや取り組みもまた劣後せざるを得ない判断でした。

 

そこで、落ち着いたこの年明けすぐに、泊まりがけの経営合宿を行うことにしました。

アジェンダは大きく4つです。

 

  1. 慌ただしく駆け抜けた1年を、一度立ち止まって冷静に振り返るセッション
  2. この短期間での競争環境の変化と、自分たちの強みを再認識したうえでの今後の方向性、存在意義、提供価値についてのディスカッション
  3. コーチングの手法を転用した、1人1人の価値観をあぶり出すワークショップ
  4. BBQ、サウナ、飲みながら深夜までの1人1人のめっこりとした自己開示エモタイム

 

 

1. 慌ただしく駆け抜けた1年を、一度立ち止まって冷静に振り返るセッション

この1年で、ものすごくたくさんの成果が出ました。それが一時の偶発的なものに過ぎないか?競合と比べて、強い競争力を持った持続的、構造的な成果になっているのか?、を冷静に棚卸します。

普段の経営会議での議論では、人によって楽観すぎ・悲観すぎ、短期目線すぎ、メンバー目線すぎ、など偏った見解になりがちで、議論にならないので、どんな展開になるかハラハラしていました。が、今回は杞憂に終わりました。みんな年末年始でリフレッシュできていたのか、非常にバランス良い議論ができたと思います。

また、良かったことだけでなく、残っている課題や当初到達したかった地点からの差分を反省して、下期に向けたテーマを明確にすることもできました。

 

 

2. この短期間での競争環境の変化と、自分たちの強みを再認識したうえでの今後の方向性、存在意義、提供価値についてのディスカッション

先日の記事にも書いたように、変化の激しいベンチャー界隈で、外部環境を正しく分析することは容易ではありませんし、あまり突き詰めても仕方がない部分はあります。ホントかウソか分からない断片的な情報だけで、脇を甘くしたり、気をつけすぎても意味がないので、今回は、ちゃんと複合的に検証しつつ確からしい重点ポイントに絞って、視座を固定しました。

この半年だけでもみんな苦労しただけあって、自分たちのサービスの本質的な強み(便益と独自性)を再定義することができたと思います。さらにその強みを活かして、未来に向けた方向性も朧げながら見えてきたのも良かったと思います。

 

経営者だけが頭のなかで構想し、みんなに夢を語って踊らせるやり方は時代遅れです。同時に、現場の積み上げだけでも魅力的な構想は出てきません。

未来に向けた話は、すごく扱いが難しいテーマだと思います。

 

実を言うと、過去の経営合宿でも何度もトライしました。その際は、荒唐無稽な夢想か、個人の勘に基づくエゴの域を出ず、いま思えば残念なアウトプットしか出せませんでした。

 

今回は、毎週の事業部経営会議での壁打ち議論を下地にできたので、程よく地に足がつき、個人ではなく会社や事業を主語に、構想するステップを踏めたことが良かったのかなと思います。

 

 


3. コーチングの手法を転用した、1人1人の価値観をあぶり出すワークショップ

これは、あえてゴールを定めずに、とりあえずやってみよう、という感じでやりました。

まず最初に、価値観キーワード50個くらいから、それぞれの大事にする価値観を3個特定します。

つぎにくじ引きで2人1組になり、手元のマニュアルに沿って、精神科医の先生と患者のような形で、自己開示を引き出してゆきます。

その後、1人ずつ、聞き出した内容を他己紹介の形で、全体発表します。

最後に感想コメントを付箋に書いて、集めて、さらにそれも全体に共有して、拍手で終了です。

 

これが素晴らしいワークショップで、特に「他己紹介」で過去のエピソードなどを聞いていると、その人の意外な一面をフラットに聞けて、感動してしまうのです。想像を超えたものでした。

みんな日々の業務や飲み会で知った一部の情報から、お互いに勝手な人物イメージをもっています。

発表を聞いているうちに、それらのイメージがいい感じに丸く、良い方向に統合認知されていく感覚を持ちました。

最後のフィードバックも、相互承認(アグノリッジメント)を得られて良いものでした。

 


4. BBQ、サウナ、飲みながら深夜までの1人1人のめっこりとした自己開示エモタイム

肉は旨く、満月の露天風呂も素晴らしく、焚火でエモエモして、テラハ風のコテージで、15名ほどが車座になって、3番の発表の続きをしました。

サウナand外気浴で完璧に整ってしまったぼくは、その後、酔いがまわりすぎて、ずっとゲロゲロしてました。

 

最後は記憶が朧げです。

ただ、ずーっと1日中、顔を合わせて、奥深くまで温かい空気で話し合えたので、これまでにない結束力を強く感じたのを覚えています。

 

虚勢や強がり無しに、掛け値なく、

これは、もっといい経営チームになるな。

もっともっと攻めていけるな。

このチームで成功したいな。

と確信できた合宿でした。