ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

組織設計について

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photo by somebody_
前回の記事からの続きです。
ちょっと小難しい話が続きますが、恒例の脳みそダウンロードなのでお付き合いください。
今日は、こんな話…


組織設計のPJTは、難易度が高い。
陣頭指揮を執るマネジメントでさえもステークホルダーであることが多く、人の顔を思い浮かべがちになるからで、さまざまな思惑が働いてしまう、というのが一番の理由のように思います。
また、本当に意味のある組織を作ろうとする場合、「どの変数を固定するか」のポイントによって、アプローチが変わってくるのでなかなか定型化しずらいものであることも複雑性を高める要因になります。
通常は、大規模な組織再編を機に、

  1. 事業部制やマトリックス組織などの組織の根本構造を変える
  2. 人のアロケーションをドラスティックに変更する
  3. 部長職のポストを絞る/増やす(つまりは昇格/降格人事が発生する)
  4. 子会社化/子会社吸収のオプションを検討する
  5. 事業⇔管理のパワーバランスをいじる
  6. 決裁権限の委譲/集権を進める
  7. 意思決定フロー・プロセスの見直し

などなど、様々な派生イシューを解きほぐしてゆく必要があります。これが変数です。


仮に、1つ1つのやる・やらを全て検討した場合、出来上がるのは、ある種の「組織の理想形」です。理想形を突き詰めて検討し、解に落とし込むだけでも、もの凄く大変な作業です。
しかしながら、実行に移される再編プランは、この理想形とは異なる場合が往々にしてあります。
限られた期間ですべてを一気に変えるにはリスクを伴うので、最終的な落としどころは、段階的な再編オプションとして、メッセージをシンプルに。レバレッジポイントのみの再編に留めることが多いように思います。
組織再編を実際に進めるタスクフォースと再編後の混乱や創造をハンドリングする現場のミドルマネジメントの力量に依存するからです。
「強い中間管理職の数が、組織を決める」と言っても過言ではありません。
実は、「優秀な中間管理職が、どの領域にどれだけいるのか?」「それを踏まえて、どこまで再編を推し進めるか?」という見極めが一番難しく、PJTの佳境を乗り越えた終盤期になって、ようやく深く理解し合意し合える落としどころを決められるものです。
強いミドルマネジメントが十分に育っていなければ、頑張って徹夜で検討したプランも絵餅になりかねません。
理想的なベストな解が、いまの会社にとっての最善手とは限らないわけです。
人によっては、「妥協」のように見えるかもしれませんが、理想形を追求して描き切ったからこそ、何を削り、何を譲らないのか、を明確にすることができるので、「削ることも含めて、この会社にとってのベストな解」と考えることもできるのではないでしょうか。
やらないことを決めるのが戦略。
とはよく言ったもので、組織についても同じことが言えるのです。


さて。組織設計する際には、腹の底から理解しておくべきポイントがあるので、その辺もまとめておきたいと思います。

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