あなたはプロになる覚悟があるか?
いまの会社に転職した直後、友人の元F1レーサーと5年ぶりに再会し飲みに行った。
その時に色々話すなかで、共感しあったことがある。
「結局は、スポーツだろうが、経営だろうが、何か1つのことを突き詰めようと思うと、
アスリートのようなストイックな態度が必須」
ということだ。
彼は生まれながらに将来を嘱望され、周囲のプレッシャーもありながら、見事、世界に羽ばたいた。
「まぁお前の言うことは、すげーよくわかる。おれ達のやってきたことは、似てるな。
ただ、それ相当レベルの高いことを言っているよ。大半の人には、厳しいぞ」
と、彼は顔をすくめながら、モヒートを飲んでいた。
「確かに、俺は世界一を目指してるからな。もう世界の凄い人のレベルを見ちゃったから。
みんなが目指してないのはわかるが、それでも、ヤツにはもう少し期待していたんだよね。」
僕は、既に帰ってしまった元秀才くんを思いながら、そう答えた気がする。
◆
何かの分野で、プロフェッショナルという「道」を目指す覚悟があるか。
この一言に尽きるんじゃないだろうかと、つねづね思っています。
夢なんて、あってもなくても良い。
自分探し()もやっちゃってくれ。
一芸に秀でるとか、才能がある/ないとか、No.1かOnly.1かとか、もうどうでもいいんだよね。
そういう議論にはうんざりしています。
あなたはプロになる覚悟があるか?
この一言に真正面から答えられるかどうか。行動で示せるかどうか。だと思っています。
すぐには答えられなくとも、考える材料として。久々に良い記事を読んだので紹介しておきます。
満足できるキャリアを築くためには、誰もが無視できないほどにスキルを高めよ | ライフハッカー[日本版]
Lifehackerにしては、中身のある記事。
"スキル"は、自力で編み出すもの、自己開発するものであって、学ぶものではありません。
そして、だれもが無視できないほどの"スキル"が、仕事への情熱を生み出す。
モチベーションを自家発電できる才能(訓練)は、本当に重要です。すべてが好転する。
この好循環を回す=職人マインドを手に入れるまでに、また果てしない道のりがあり
◆
「厳しいなぁ」と思ってしまった、そんな君には、この記事を紹介しよう。
「そんなの知らないよ」と彼女は - デマこい!
「私が言いたいのは、何もしなくていい時にしていることを仕事にすべきってことだよ。
そういうモノなら、いくらでも続けられる。いくらでも上達できる。……そして、いつか、群を抜くことができる」
これもまた真だと思う。
だから僕は「考えること」を仕事にした。
業界とか、会社の事業の中身それ以上に、考えなきゃいけないことは、どの会社も山積みだから。仕事はなくならない。
あとは、会社との相性だけなんだよね。
そうすると、業界だって、会社だって、”面白そう”とか”居心地良さそう”って軸で選べるようになるわけだ。
もちろん、得意な領域はある。
でも、得意な領域で天下無双状態になるよりも、考えることの方が大事だ。考えていて面白いかどうか。がすべて。
だから、ファームから事業会社に転身するときに、事業会社だから実行できる/できないとか、関係ないんだよね。
それを理由にするのは、単なる自分へのへの言い訳だと思っている。
最終的な意思決定を後押ししてもらうための。そこで考えるのを放棄してるんじゃないかと。
第三者という立場でその会社にかかわろうが、中からその会社の経営にインパクト与えようが、
やるべきことは、そんなに変わらない。
愚直にマネジメントイシューにアドレスしながら、地道に組織を動かすポイントを突き続けるだけだ。
「コンサルティングファームと、事業会社では、全然違う!」なんてのたまう”自称・元コンサルタント”がいたら、
げんこつぐーでOKです。
入ってくる情報量や質は、内部にいた方が格段に良くなるかもしれない。それも人による。
むしろ、マネジメントに直結できるファームにいたころの方が、動かしやすいくらいなんだよ実際は。
◆
サッカー日本代表・本田の記事もそう。
2万字、ぜんぶ読もう。繰り返し、10回くらい。
『沈黙を破り、今すべてを語る』 本田圭佑 独占2万字インタビュー全公開 – サッカーキング
一人で考える時間は多いですよ。ポジティブな意味で、孤独は長いですよね。ずっと孤独な感じがします。やっぱり、僕はプロの世界ってそういうもんやと思うんですよ。もちろん、人間は一人では生きていけないっていう大前提で、多くの人にサポートしてもらってるのも承知の上で、それを踏まえた上でも、やっぱり自分の力で何とかしなきゃダメなんですよ。誰かに助けてもらう、もらえる、というような認識では通用しない。助けてもらっていることに感謝しつつも、助けてもらえるなんて思ったらダメなんですよ。自分だけの力で、一人で男は這い上がっていかないとダメなんです。その認識の上で、結果的には、確かに周りのみんなに助けられて、支えられて、ここまで来てはいますよ。でも、僕は常に一人で戦って生きていくんだという気持ちでいますね。
「道」の上で、「孤独」は避けて通れない。
むしろ、必要なことだと思っている。(記事:孤独に戦う - ignorant of the world -散在思考-)
「孤独」の中で、自分を高めてゆく。
それが一番効率的だから。
本田圭佑 いや、僕が求めるハードルが高いんで。世界一の器を求めているんで。もちろん、オカにしてもユウトにしても、日本レベルで見たら立派な大人ですよ。自分をしっかりブランドにしていて、足一本で日本代表まで上り詰めて、その中心にいるわけですから。それは日本人から見たら、憧れの的と言っても過言ではないでしょう。でも、僕が求めているのは世界一ですから。ユウトにはインテルのヤツらに負けてもらっては困るんですよ。
──むしろ、インテルを引っ張るぐらいじゃないと困るわけですね。
本田圭佑 そうですよ。オカだってシュトゥットガルトの、あの個性の強いヤツらを引っ張っていってもらわな困るんです。シンジに関しても一緒ですよ。英語がしゃべれないとかいって、イジられているようじゃダメなんですよ。たとえ、マンチェスター・ユナイテッドだとしても。
──夢を持ち、その夢を実現するためにはどうしたらいいか、ということを考えることが大事なんですね、その人自身で。
本田圭佑 それはね、はっきり言って、24時間中24時間以上考えなきゃダメですよ。時間をね、コントロールしないとダメです、空間として。
──「24時間以上」というのがすごくインパクトある言葉なんですが、自分自身、そういう感覚でいるわけですか?
本田圭佑 それぐらい、っていう気持ちですよね。そんなことまた言ったらね、「24時間以上、なんて何を言ってんねん」っていうヤツが出てくるんでしょうけど(笑)。ただ、そんなことは分かった上で、24時間以上というのは、やっぱり、気持ちの表れやと思うんですよね。それぐらいの、なんか常識を覆すような情熱を持って考えろと。常に自分と向き合えってことなんですね。何が必要なんやっていうことを自分に問えと。
ちゃんとした過程を経て成功するのと、偶然成功するのとでは、全く違ってくると思いますよ。残念ながら、サッカー選手には、偶然成功した選手が多いと僕は思ってますけどね。僕の場合は、それだとここまで来ることすら無理でしたし、これから世界一になるにも、このままじゃ無理だと思っているんで。そういう意味では、人として成長する必要が、さらに求められてくると思うんです。確かに僕がサッカー選手として成功した時には、それはもう人生の成功だと、「もう道は見えてる」と言っても過言ではないかもしれないですね。
本田選手の言葉も、共感を覚える。
彼は、日常生活や普段の練習から、考えて考えて考えつくして、想定して想定して想定しつくして、
上のレベルのプレーを自分に求め続けている。
そして、試合中は、自分がどう感じてどう動くと良い結果に結びつくのか、まで、
客観的に観察しながら、フィーリングを上手く使いこなして、最良の結果を叩きだす精度を上げている。
僕らサラリーマン戦士の生き方、も似てるんじゃないかなと思う。
全てを計画的に、きっちり逆算して、すべての行動を合理的に行え!と言いたいわけではない。
日ごろは考え続け、実践の時は、考えたこととその場の判断で、その難局を乗り切る。
それ以外にないのだ。
◆
彼のインタビューに、フリーキックが入るか、入らないか、事前にわかる。という逸話がある。
──ボールを持つじゃないですか。それから、ボールをセットする時は、かなりボールの向きを気にしてますよね?
本田圭佑 気にしますね。置き方も決まってますから。それと、FKが決まる時はね、蹴る前に分かるんですよ。決めるシーンがグーッと画として頭に浮かび上がってくるんです。
──それは、かなり正確にイメージできているということですか?
本田圭佑 結果論ですけどね。でも、決まる時はやっぱり描けているんですよ、鮮明に。鮮明さが違うんですよね、外す時とは。ラインがもう出てきますからね、ボールが動くラインが。
──これまでも、たくさんのFKの名手に話を聞いてきましたが、こんな表現は初めてですね。蹴る前に、弾道も含めて、すべて見えるということですか?
本田圭佑 見えます。GKが動くラインまで見えます。GKがどこまで飛べて、結果的に届かないことも鮮明に見えるんです。だから、FKのシーンになったら、とにかくそれを描こうとするわけですよ。でも、結果論ですけど、外してる時は描けていないんです。何とか描こうとしてるんですけど、必死に。でも自然と、やっぱり狂ってきちゃうんです。
──ゴールに入る時とは違うんですね?
本田圭佑 そうなんです。入る時は、助走する前にもう描けてるんですよ。立ってゴールのほうを向いた時に、「あっ何かきてる」っていう感じになるんですよね。
──描けているかどうかは、どの瞬間に分かるんですか? 蹴った瞬間ですか?
本田圭佑 もう立ってる時ですね。スタートする前です。分かって、描けて、こうクッと見えているわけですよ。で、その結果、蹴ると入るわけですよね。で、描けてたってなるんですよ。「あっ、ホンマに描けてたわ」って。外す時も、描けてたつもりで蹴って、外すわけです。で、蹴った後に「描けてなかったな」って気づくんです。
──すごく独特の感覚ですね。きっと、本当に一握りの人にしか分からない感覚なんでしょうね。
本田圭佑 自分でもまだよく分かってないんです。だから、そこも課題でしょうね。
──それから、現在のボールはメーカーによっても質感が全然違いますし、明らかにFKにも影響が出ていると思いますが、キッカーにとって、ボールの違いはどこまで影響するんですかね?
本田圭佑 やっぱり、全然違いますよね。ボールの質の違いもそうですし、ピッチの芝の長さでも変わってきますし、ボールが濡れているかどうか、スパイクが濡れているかどうかでも、全然違ってきますね。すべてのコンディションがボールの変化につながりますから。あとは感覚的なものもありますよね。それも含めた画なんですよね。
──練習の時から、そういった要素を含めて、意識して蹴るんですか?
本田圭佑 そうですね。感覚的な部分も多いんですが、GKの位置、壁の位置、壁の高さ、風の吹き方、ボールやスパイクの濡れ具合、そういった要素を全部考慮して蹴ります。
──そこまでイメージしてアジャストしていくわけですね。
本田圭佑 はい。その物差しを誤ると、絶対に外れてしまうので、その物差しがピンポイントで来る作業を普段からしないといけないんです。
サッカーでは、仲間にビジョンを共有して、動かして、実際に描いてしまう才能を「ファンタジスタ」と呼ぶ。
フリーキックも同じように、事前にビジョンを描く。
「どこから蹴っても入る」という確信を作る。
というか、作る努力をしなくとも、ボールを置き、助走をつけた時点で持っていないとダメな感覚。
仕事も同じ。
「絶対に刺さる」という確信を持てるときがある。
何千何万パターンもの思考を積み重ねて、辿り着いた結論。
プレゼンの想定問答もクリアに描け、あとはきっちりデリバリーするだけ。
こうあるべき、こうすべき。
力を込めて、提言し、議論することができる。
そこに至るまでに行っていることは、1つだけだ。
マネジメントイシューを想像しきること。
これだけだ。(記事:マネジメント・イシューを当てに行く力 - ignorant of the world -散在思考-)
たった1つのことを実現するために、僕が大事にしていることが2つある。
それを紹介して締めくくろうと思う。
トップダウンで考える
まずは、マネジメントイシューを、トップダウンで想像しまくってみる。
もう暇さえあれば、こればっかりを考えるくらい。
(現状)
自分が経営者だったら、いまの会社をどう認識するだろうか?
(あるべき姿)
どういう方向を目指すだろうか?
(課題=あるべき姿ー現状)
そのとき、なにが悩みだろうか?
を、目いっぱい想像する。
材料は、
- 市場環境: マーケット全体のマクロな動き、その背景にあるメカニズム、今後の予測など
- 競合: 主要な競合が何を考え、どんなことをやり、どういう成果を得ているか、新たに脅威になりそうな小さな芽が出てきていないか、など
- 顧客: お客さんのマクロ動態、自社のKPIの動き、社内Logデータを使った個別分析など
と豊富にある。
ボトムアップで考える
日々の業務の中で、さまざまな部署と打ち合わせをし、時に、こちらからお願いして部内MTGに同席させてもらっています。
直接的に、本部長/部長の方々の課題感を伺うこともあれば、
マネージャー/メンバーレベルでいろいろな議論をするなかで、現場の課題感を共有してもらっています。
ボトムアップでの雑多な課題感を、幅広く収集しながら、トップダウンと突き合わせて、
マネジメントイシュー(妄想)の精度をあげにゆくのです。
なかでも、「マネジメントの言葉を一言一句、丁寧に拾う」ということが重要です。
以前、こちらの記事に書いたとおり。
マネジメント・イシューを当てに行く力 - ignorant of the world -散在思考-
ただ、愚直に、想像し、言葉を広い、データを見て、分析を深め、また想像し、議論し、メッセージを練り上げる。
世界レベルを意識しながら、ひたすらこの繰り返しです。
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