ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

“ロジックはそえるだけ”

yo4ma32009-03-12

近況とコンサル業界の話など

年末にかけての地方PJから帰還し、東京でのPJが1本終わりました。
気がつけば2月が過ぎ、次に入るPJが待ち構えている状態で、
前回のPJの学びを棚卸ししています。


ブログをサボりがちになっていることをご容赦ください。
地方PJで自走感をつかみ、東京PJでは、次のチャレンジへ挑もうとしていたわけなのですが、世の中甘くない。
そうは問屋が卸しませんでした。
因みに、クビとかそうゆう話ではないです。念のため。

前回のPJで見えた課題

年末年始のエントリで何となく雰囲気を書いたとおり、地方のPJで立ち上がったとは言いつつも、
新たに見えた課題が山ほどありました。久々の東京PJでは、これらの課題に挑戦してやろうと、
意気込んでいました。


が、開始直前に不測の事態。
そもそものPJの始まる当初は私と準マネージャーレベルの2人だったのですが、
諸事情により、緊急でチームを再編成し、私と同じジュニアレベルのメンバーが複数人となる
異例の状態でスタートしました。チーム内での私の役割は明確でしたが、如何せん、
チームでの情報共有やディスカッション、意思決定のスピードに対し、いちいちメンバーの
理解度によって律速されるという問題がすぐさま露呈しました。
「チームのバリューを最大限に高める」観点から言えば、メンバーのフォローアップや指導、仕事の振り直し等、
私ですら一瞬一瞬の判断で行うのは当然のこと。もともとの性分と相まって、
そういった時間が日に日に増える一方で、自分のタスクを要領よくこなせなければならない状況になりました。


地方で揉まれたおかげもあり、イシュー分解の後に、大事な論点を中心に仮説を立て、検証しきるまで、
ものすごいスピードでできるようになっていた。適宜、上と握りながら、自分の中で完結させる、
まさに「自走モード」を会得した状態だったので、自分のタスクを要領よくこなすことに問題はなく、
PJ期間が短い中で、その持ち味が生きる場面も多かった。
最終的にその点では上からの評価も上々でした。


が、短期間での超スピード処理のために、最初のイシュー分解を怠り、
直感的に大事な論点を8割がた認識したらすぐに走り出す、というやり方を採ることもしばしば。
私がどちらかというと「右脳型」で、何でもイメージで認識し、直感で動くタイプだったこと、
担当した領域が、既に自分なりの知見を持っていた領域だったことが拍車をかけました。
そこが問題となりました。
インタビューですべて押え切れない、考慮すべき計算の仮定が抜ける、など「論点漏れ」がときどき起きていたのです。


「仕事は自走してこなせるので、頼りになるが、たまに抜けるよね」
「判断が早いので、ほんとにわかっているのか不安になるときがある」


と指摘された。
すべて「イシュー分解の甘さ」に起因する。
ある程度バリューを出せるようになって調子に乗っていたこの時期だからこそ、他のジュニアメンバー
タスクを巻き取ったり、ディスカッションに付きあったりをしながら、自分のタスクを疎かにしていた。
それまで常に一番下のポジションだったからこそ、力を認めてもらおうと、狭い領域ではあるが
きっちり論点整理し、上と握る作業を丁寧にやっていた。
今回、自分のタスクに精一杯力をこめてやっていた頃には現れなかった問題が、
素人メンバーに囲まれて、始めて露呈したのです。


発見した課題は、もう一つある。
「言葉の緩さ」だ。
ジュニアメンバーの中に私と正反対の、左脳バキバキの人間がいた。
彼とコミュニケーションする際に、自分の言葉では納得させきれないために、
結構な時間をロスする場面が多々あった。分解の甘さが背景にあるにしろ、
以前エントリーにした通り、もう少し、言葉を磨いていきたい。
http://d.hatena.ne.jp/yo4ma3/20080501/1209651586


ここで思い出すのは、
海南戦で宮さんにマークに付かれた桜木花道が、ゴール下以外、まったく素人レベル
であることが判明したあの事件。智将・高頭力の名采配である。


「宮益、ディフェンスは何もしなくていい」


と。
あの頃の花道はゴール下から少し離れると、シュートが決められない。
なぜなら、基礎シュートの練習をしていなかったから。
周りの凄い人たちに引き上げられているのにも気付かず、強敵相手にそれなりのバリューを
出せるようになっていた頃、思わぬところで弱点が判明した。
私はまさに“桜木花道”症候群とも言える症状にかかっていたのである。
この場面からの教訓は、


-基礎を怠るなかれ


わざわざエントリにしたもの、この初心を忘れないためだ。

合宿:2万本シュート

先の桜木花道の話には続きがある。
全国大会を前にメンバーが遠征に行く傍ら、学校の体育館で安西先生
マンツーマンで2万本のシュート合宿をし、ついにゴール前のジャンプシュートをものにする。
そして、最後に辿り着いた境地が、


“左手はそえるだけ”


山王戦の最後にシュートを決める場面でこの言葉を思い出す、あの名シーンです。
2万本シュートとはいかないまでも、これからは基礎を疎かにすることなく、
何事にも「イシュー分解」する。ガーっと仮説検証に入りたくなる衝動を抑え、
できればPJ初期の段階でイシューツリーを作っておく。
さらには、そのイシューツリーから仮説を立て、検証のために必要な情報・タスクを漏れなく洗い出し、
優先順位を付けたのちに、ワークプランに落とし込む。

ここまでやりきりたい。やらないと気持ち悪くなるくらいの癖にしたい。
辿り着く境地は、


“ロジックはそえるだけ”


なんて。
そんな決意を胸に、これからも日々精進してまいります。