ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

Whyの使い方について

yo4ma32008-02-11
いつかエントリーしようと思っていた「なぜを3回繰り返せ!」ってゆう話。
トヨタのカイゼン方式で有名になった話で、3回とか5回とか諸説ありますが、これは、自己分析と企業研究にめっちゃ大事なメソッドです。
自己分析のための就職活動tipsです。


ちょうどホットエントリに上がっていたので、先に言及しておきます。
正直whyのやり方が部分的で、私だったら合格だとは思えませんが。

レベル1:ダメな場合

どうやって知性について面接でテストするのかというと、僕は「Whyセット」という方法をよく使います。
受験者が喋ったある事柄について、ひたすら「Why?」を連発するのです。
 「モバイル業界を志望した理由は何ですか?」
 「将来性があり、これから有望だと思ったからです」
 「なぜ将来性があると思うのですか?」
 「モバイル市場は毎年拡大しており、今後もそれが続くのではないかと思っています」
 「なぜそう思うのですか?」
 「ええと・・・みんなが使っているし、僕・・私も毎日使っていますから」
 「では電気はどうですか?電車も、テレビも、自動車も、毎日使っているのではないですか?そのなかでなぜ携帯電話だけが拡大していると思うのですか?」
 「ええと・・・それは、新しいからです。新しくて、みんなが使っているから」
 「では、このあと携帯電話以外にもっと新しく、もっと普及するものが登場してきたらどうしますか?あなたは就職して5年もしないうちに時代遅れになってしまうかもしれません。それでもこの業界で働きたい理由はなぜですか?」
上記の例は、落選する場合の典型的なやりとりです。
「Why」という質問に対して、どういう回答をするかで、相手のおおよその知性が計れます。
面接に際して、充分な下準備や事前学習を積んできたか、その世界でやっていく覚悟があるか、なにより自分の行動を常に反省する知性態度があるか、ということがこのWhyセットで解ります。

面接官からみた、面接で好印象を得るための5つのポイント

「whyを3回繰り返すこと」をやらずに面接に臨むと、↑の例のようになります。
良い例だと思います。
結構このレベルで思考がとまってしまう人が多い。

レベル2:半分合格な場合

合格するやりとりも書いておかないとフェアでないかもしれません。
賢い受験者はこんな風に答えます。
 「モバイル業界を志望した理由は何ですか?」
 「将来性があり、これから有望だと思ったからです」
 「なぜ将来性があると思うのですか?」
 「国内モバイル市場はコンテンツとコマースあわせて1兆円規模に達し、世界的にもそうした潮流が伝搬しようとしています」
 「なぜそう思うのですか?」
 「ニュースや資料を調べると、そのように書いてありました。私もそうだと思っています」
 「でもニュース記事であっても、常に本当のことが書いてあるとは限らない。広告主に遠慮して、おかしな誇張が入ったニュースも沢山報道されています。それが本当のことだとなぜ思うのですか?」
 「・・・難しい質問です。けれども、モバイル専門の企業だけを見ても、この10年で3社が一部上場を果たしています。店頭公開も含めればもっと多くの会社が上場しています。これは証券会社の資料で見たので、広告主の利害関係の影響下にない事実だと思います」
 「しかしたった10年の間にそれだけの会社が上場するというのは、むしろ異常なことではないですか?バブルかもしれない。それでもなぜ敢えてモバイル業界で働こうと思うのですか」
 「・・・バブルである可能性はあると思います。しかし、土地のバブルと違い、モバイル業界は現実に人々に新しい価値を創造し、提供することに成功しています。コミュニケーションの道具として、もはやケータイなしの生活は考えられません。次の時代になにが主流となるかわかりませんが、今現在はモバイルが最先端にあり、最先端の分野に身を置いて勉強したいのです」
過去、ディティールは異なりますが、実際にこのように受け答えをした受験者が居ました。
もちろんその場で合格です。

面接官からみた、面接で好印象を得るための5つのポイント

知性を判断するだけなら、これで合格かもしれません。
ただ、これくらいのファクトを押さえた受け答えは、口先だけでできてしまう上、
whyが一方向にしか伸びていっていません。

whyにはいろんな種類がある

レベル2の例では、「将来性がある」と判断した理由をwhyで掘り下げています。
他に掘り下げる方向はありませんか?
というか、きちんと質問に答えられていますか?


もう一度、問いを確認します。

 「モバイル業界を志望した理由は何ですか?」

これに対し、

 「将来性があり、これから有望だと思ったからです」

一発目の答えがこれです。
もし私が面接官の立場でこれを聞いたら、コミュニケーション能力のない人だと判断しますね、きっと。(このエントリーが悪いわけではありませんので、誤解しないでくださいね。)
なぜならば、これは判断基準しか答えていないから。その後の受け答えも、判断基準を掘り下げただけです。だから、レベル1の質問で出てきた

 「では、このあと携帯電話以外にもっと新しく、もっと普及するものが登場してきたらどうしますか?あなたは就職して5年もしないうちに時代遅れになってしまうかもしれません。それでもこの業界で働きたい理由はなぜですか?」

肝心のこの質問には答えられていないのです。


この質問のポイントは、
実は、質問は1つですが、答えるべき問いは1つではない
ということ。
以前のエントリーでも言いましたが、
「コミットメントの問題」と「ロジックの問題」
2つに答えなければ、私だったら納得できません。将来性があるからなに?ってわけです。
レベル2の受け答えですと、「ロジックの問題」を半分クリアした程度でしょうか。


どうすればいいかというと、
「将来性がある業界で、なぜ働きたいのか?(Why)」
「将来性がある業界は、モバイル業界だけか?」
こっちの方向にもWhyを伸ばして、自己分析するべきなのです。
それを「whyにはいろんな種類がある」と表現しました。
質問を分解してみると、


「モバイル業界を志望した理由は何ですか?」
→ 「将来性があり、これから有望だと思ったからです」
=「whyモバイル業界」+「why将来性」


という具合でしょうか。
就職活動生は、一度、そこも深く考えてみることをおススメします。
新卒であればなおさら、後者のwhyが大切になると思います。