ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

社員の満足度サーベイ

Happy

業績と各種KPIが伸び悩んだ踊り場を終えて、劇的に成長トレンドを描き始めている。痛みを伴う改革は、一旦、うまく着地したようにみえる。

そこで、定期的に調査している、全社員の満足度サーベイをぶん回した。いま手元に速報データがあがってきたので目を通した。

 

全然、良くなっていない、、、

それどころか、悪化しているチームもある、、、

そんな気持ちで仕事していたのか、、、ごめんよ。

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想定の範囲内ではあったけど、やはり通知表のように項目ごとに点数を突きつけられるとめちゃ凹む。特に、「経営陣への信頼」スコアは見たくない。

 

ぼくひとりの力で改善できると思うほど、過信し自惚れてはいない。一方で、成績表は、すべて自分の責任だなぁと捉えるしかない。

 

良かった点もある。部長とマネージャーの満足度スコアが劇的に改善しているのである。経営陣との対話が増え、合宿での覚醒し、自分たちの手で成果を出したことが大きな自信になってきたのだろう。

 

あとは、現場のメンバーだ。中心となる部長、マネージャーが輝いてこそ、メンバーまで浸透させられる。その土台が整ってきたように思う。

現に、1番スコアの良いチームは、マネージャーの満足度がすこぶる高い。彼ら彼女らがコミュニケーションの起点となり、周囲に良い影響を与えている。

 

社長ひとりでは、何もできないので、ここはみんなに頼るしかない。おらにちからをー。

 

この問題に、真摯に向き合おう。社員が不満を抱えながらがんばる会社を経営していても、なにも誇れない。成果に慢心してはいけない。

 

社員の幸せなくして、クライアントやユーザーが幸せになるはずはない。大変だけど、これをやり切らずして、ビジョンもへったくれもない、と心から思う。

 

 

 

 

 

経営合宿でのチームビルディング

Camp fire (b&w)



先日、1年半ぶりの経営合宿を行ってきました。どんなことを議論してきたのかを、メモを兼ねて書き残しておきます。

 

 

2019年は、すったもんだ色々なことがありました。事業は成長しつつも、内部変革を進めた大変な時期でした。

一言で言えば、苦難の再生期、と認識しています。

 

振り返ると、とにかく目の前のクライアントの皆さまや、ユーザー、お客さまに価値のあるサービスを提供すべく、1人1人がサービスのクオリティ向上と、信頼関係の構築に専念し続けてくれました。

組織の大変革前後のネガティブな空気を跳ね除けて、見違えるように風通しの良い、連帯感のあるチームが増えてきて、本当に嬉しく思っています。

ぼく個人としても、これでダメなら諦めがつく、くらいにまで考え切り、先陣を切って泥臭く改革に手を入れたので、いまこの瞬間は、やり切った感を覚えています。

 

一方で、再編時に、約8割の部長、マネージャーを新任で抜擢しました。

当時は、この改革を前向きに押し進められる布陣だけをしいて、みんなにも、まずはそこに専念してもらってきたので、経営チームとしての一枚岩、信頼関係の構築を劣後してきてしまっていました。

また、短期的な改革と成果を追い求めるあまり、中長期的なチャレンジや取り組みもまた劣後せざるを得ない判断でした。

 

そこで、落ち着いたこの年明けすぐに、泊まりがけの経営合宿を行うことにしました。

アジェンダは大きく4つです。

 

  1. 慌ただしく駆け抜けた1年を、一度立ち止まって冷静に振り返るセッション
  2. この短期間での競争環境の変化と、自分たちの強みを再認識したうえでの今後の方向性、存在意義、提供価値についてのディスカッション
  3. コーチングの手法を転用した、1人1人の価値観をあぶり出すワークショップ
  4. BBQ、サウナ、飲みながら深夜までの1人1人のめっこりとした自己開示エモタイム

 

 

1. 慌ただしく駆け抜けた1年を、一度立ち止まって冷静に振り返るセッション

この1年で、ものすごくたくさんの成果が出ました。それが一時の偶発的なものに過ぎないか?競合と比べて、強い競争力を持った持続的、構造的な成果になっているのか?、を冷静に棚卸します。

普段の経営会議での議論では、人によって楽観すぎ・悲観すぎ、短期目線すぎ、メンバー目線すぎ、など偏った見解になりがちで、議論にならないので、どんな展開になるかハラハラしていました。が、今回は杞憂に終わりました。みんな年末年始でリフレッシュできていたのか、非常にバランス良い議論ができたと思います。

また、良かったことだけでなく、残っている課題や当初到達したかった地点からの差分を反省して、下期に向けたテーマを明確にすることもできました。

 

 

2. この短期間での競争環境の変化と、自分たちの強みを再認識したうえでの今後の方向性、存在意義、提供価値についてのディスカッション

先日の記事にも書いたように、変化の激しいベンチャー界隈で、外部環境を正しく分析することは容易ではありませんし、あまり突き詰めても仕方がない部分はあります。ホントかウソか分からない断片的な情報だけで、脇を甘くしたり、気をつけすぎても意味がないので、今回は、ちゃんと複合的に検証しつつ確からしい重点ポイントに絞って、視座を固定しました。

この半年だけでもみんな苦労しただけあって、自分たちのサービスの本質的な強み(便益と独自性)を再定義することができたと思います。さらにその強みを活かして、未来に向けた方向性も朧げながら見えてきたのも良かったと思います。

 

経営者だけが頭のなかで構想し、みんなに夢を語って踊らせるやり方は時代遅れです。同時に、現場の積み上げだけでも魅力的な構想は出てきません。

未来に向けた話は、すごく扱いが難しいテーマだと思います。

 

実を言うと、過去の経営合宿でも何度もトライしました。その際は、荒唐無稽な夢想か、個人の勘に基づくエゴの域を出ず、いま思えば残念なアウトプットしか出せませんでした。

 

今回は、毎週の事業部経営会議での壁打ち議論を下地にできたので、程よく地に足がつき、個人ではなく会社や事業を主語に、構想するステップを踏めたことが良かったのかなと思います。

 

 


3. コーチングの手法を転用した、1人1人の価値観をあぶり出すワークショップ

これは、あえてゴールを定めずに、とりあえずやってみよう、という感じでやりました。

まず最初に、価値観キーワード50個くらいから、それぞれの大事にする価値観を3個特定します。

つぎにくじ引きで2人1組になり、手元のマニュアルに沿って、精神科医の先生と患者のような形で、自己開示を引き出してゆきます。

その後、1人ずつ、聞き出した内容を他己紹介の形で、全体発表します。

最後に感想コメントを付箋に書いて、集めて、さらにそれも全体に共有して、拍手で終了です。

 

これが素晴らしいワークショップで、特に「他己紹介」で過去のエピソードなどを聞いていると、その人の意外な一面をフラットに聞けて、感動してしまうのです。想像を超えたものでした。

みんな日々の業務や飲み会で知った一部の情報から、お互いに勝手な人物イメージをもっています。

発表を聞いているうちに、それらのイメージがいい感じに丸く、良い方向に統合認知されていく感覚を持ちました。

最後のフィードバックも、相互承認(アグノリッジメント)を得られて良いものでした。

 


4. BBQ、サウナ、飲みながら深夜までの1人1人のめっこりとした自己開示エモタイム

肉は旨く、満月の露天風呂も素晴らしく、焚火でエモエモして、テラハ風のコテージで、15名ほどが車座になって、3番の発表の続きをしました。

サウナand外気浴で完璧に整ってしまったぼくは、その後、酔いがまわりすぎて、ずっとゲロゲロしてました。

 

最後は記憶が朧げです。

ただ、ずーっと1日中、顔を合わせて、奥深くまで温かい空気で話し合えたので、これまでにない結束力を強く感じたのを覚えています。

 

虚勢や強がり無しに、掛け値なく、

これは、もっといい経営チームになるな。

もっともっと攻めていけるな。

このチームで成功したいな。

と確信できた合宿でした。

 

 

人に厳しいことを言う辛さを飲み込んで

distress

人に厳しいことを言う。

嫌なことを言う。

指摘をする。

非情な判断をくだす。

みんなが大変なことをわかりながら実行させる。

 

経営者は嫌な仕事が多い。

 

好きでやっているわけではない。やらなくていいなら、それに越したことはない。自分がもっと上手くできればいいなと、反省も多い。

褒めるだけ、諭すだけで、会社の仲間たちには気持ちよく働いて成果を出して欲しい。

 

さらに、ぼくから指摘を受けたミドルマネジメントは、自分で飲み込むか、うまくメンバーに落とす苦しみを味わうことになる。負の連鎖だ。

 

 

そこまでわかっているので、自分のキレポイントについては、相当意識してコントロールしているつもりだ。

例えばこんなポイントが、琴線に触れる。

 

  • 組織や他のメンバーに悪い影響を与える言動。さらにそれを放置して見過ごしている上司の態度(具体例:会社の方針を蔑ろにすることを言う)
  • 独りよがりな論理で仲間を振り回す言動(具体例:無茶な納期や品質を社内で強要し批判する)
  • 組織のセクショナリズムヒエラルキーを、増長するような言動(具体例:仕事のキャッチボール、たらい回し、責任転嫁)
  • ゴールに向かって考え切っていない。サボっている(具体例:やると決めたことをできずに平謝りしてスルーしようとする)

 

結局、コトにあたっていない人には厳しくあたっている。全体のゴールに向かって、何ができるかを考えれば、本来、セクショナリズムなんて起こりえない。むしろ積極的に巻き取り、先回りし、協力し合う信頼関係がある組織になっていくだろう。

 

 

よく勘違いされるが、目標届かない、失敗をしてしまった、こういうことには怒らない。怒っても仕方ないので、優しく建設的な議論ができる。むしろ、みんなで議論して知恵を絞る、良い機会だ。

一方、チームのバリューを最大化する動きに反している人は、いる意味がないどころか、周りに迷惑をかけたり、頑張っている人をデモチさせてしまう。ここは、グッと堪えて、怒らなければいけない。

事が大きくなる、不可逆になる前に、日々のマネジメントで潰し込んでおかないといけない。

 

そして理想を言えば、自分が言わなくとも、ミドルマネジメントが同じ思いで、日々のマネジメントでそうした目を潰して欲しい。それが組織の文化となり、価値観として浸透してゆくからだ。

 

 

もしかしたら、ぼくがキレるやり方でも、短期的に成果が出るかもしれない。現に活躍している人、成果を出している人が、組織に反するような言動をするので、外すに外せないジレンマに悩むケースも多い。そういう人に限って、部下や周囲からの尊敬を集めていたりするから、経営者としては厄介だ。

 

それでも、成果を出すけど組織と同じベクトルを向けない人には、何度も何度も改善を促す話し合いをして、非情な決断を下す必要がある。降格させたり、外したり、という判断が、短期的に求心力を失うことになる。それでもやらねばならない。

 

 

ぼくもこうした判断で随分悩んだし、苦労をした。そこで、自分の価値観、哲学、ポリシーと何度も向き合って、遂に、納得した。

組織や人について厳しい判断をしなければいけないとき、判断に迷ったときには、こんな判断軸で決める。

「そんな人と一緒に成果を出しても嬉しいか?」

「長い目で見て、本当に良い会社になれると思えるか?」

 

事業の判断、投資の判断、よりも、組織・人に関する判断は、本当に難しい。

経営者が時間をかけて検討し、判断しないといけないくらいに、問題が大きくなっているときには、すでに遅い。日々の判断で先延ばしにしている、解決し切れていないものが時間をかけて積み上がってしまった結果だ。そして、すべてが自分の力不足だし、すべてが自分の責任だ。

だから、日々のマネジメントで、厳しくも規律を持って、嫌なことでも軌道修正をかけてゆかなければいけないと切に思う。声は大きくない、目立たないけれども、組織を支えてくれている心あるメンバーがたくさんいる。そんな人たちを悲しませないためにも。

 

 

 

人生分岐シナリオの擬似体験

Sheep

不定期に、同じ夢、似た夢、を繰り返し見ることってありませんか?ストーリーは違っても、いつも同じ街並みや光景が出てきたり。ここで言う「夢」は、寝ているときのやつ。

ぼくは、3つくらいある。そのうち1つについて、書いてみたいと思う。

 

 

それは、いまの会社を辞めて、前職のコンサルティングファームに再就職する夢だ。

なにかの拍子に、現職に軽く辞めることを伝えて、次の瞬間には、ファームのオフィスに出入りしながら、オフィス内やビルを動き回るのだ。そして、雰囲気がすっかり変わったオフィス環境と、見覚えのない同僚たちに毎回、自己紹介をしたり、雑談をするが、プロジェクトに何もアサインされていないのでただ単に暇にしている。そこで、突然、プロジェクトにアサインされる苦しみ、タイトな納期やクライアントの期待を超えるプレッシャーをありありと思い出す。そして、もう戻れない現職の自由な環境に戻りたい!と焦って、残念に思いながら夢が終わる。

細かい展開は、毎回違うが、ストーリーは同じだ。

 

しかも、この夢を見る回数が増えるたびに、用意周到に、確実に転職したことを確認しながら、いよいよファームに戻った、これは現実なんだ、と夢のなかで確認をしている。

 

謎である。

寝起きの気分も悪い。起きた瞬間に、現実を確認して、安堵するのも億劫だ。

 

現職の経営ポジションを辞めるつもりはない。

前職のファームに戻るつもりもない。いつでも戻れるや、いま戻ったらパフォームするかな、くらいはたまに考え程度だ。

またあのハイプレッシャーな環境で、土日も気が休まらないクライアントへのコミットは、大変すぎる。

ぼくにとっては、恐ろしいシナリオの夢なのだ。

 

この夢を見ると、なにかの潜在欲求の反映というより、未来のシナリオを「擬似体験」させられている気分になる。そう、未来映画の夢オチ、バーチャルライフSFといったものを見たときの感覚にすごく近い。

 

お陰で、いまの仕事のありがたみや、もっとこうしたいという欲求を再確認できる。

最近、VRでけん玉訓練して、実世界でも上達する動画が人気だったが、夢のなかやVR空間での訓練による習熟、発達の実用化は、すぐ目の前にきている。もし、夢を自由にコントロールできるなら、こうしたいろんな人生のシナリオを擬似体験できるのは、割と面白いなと思った、という話でした。

 

母の病室とKindle本

Mother Alone

最初に言っておくと、オチはないです。

 

先日、母の軽い手術の立ち合いで、千葉のとある片田舎の総合病院で半日を過ごす機会があった。

そのために休暇をとったので、平日片道1時間の電車に揺られる時間と、手術中の待ち時間を持て余すことになった。

母の手術は病気でも怪我でもないので、特に家族や人生について感傷に浸るという感じでもなく、年末年始に追われた家族対応と仕事初めのアドレナリンから弛緩して、久々にひとりの時間を持てたことに安堵すら感じていた。

 

手術前にランチに抜け出し、メール対応やテレカン1本をこなしつつ、のんびり千葉の広い空を眺めた。

 

厄介だったのは、手術中の家族待合室での待機だ。窓もない狭い部屋にソファーとテーブル、手洗いの洗面台のみがある、質素な空間に4〜5人が2時間ほど押し込められた。

携帯をみると、電波がなく、ゲームやネットサーフィンは不可。しかも病院によると、基本的に部屋から離れるなと。緊急時に捕まえるためだと思うが、ちょっとイケてない。

案の定、ほかの人たちは(年配の女性が多かった)ひたすら壁を見つめるか、目を閉じて寝たふりをするかしていた。もしかしたら大変な手術の最中で、気が気ではなかったのかもしれないが、皆目知る由はない。

 

困り果てた僕はというと、持参した本を病室に取りにいけず、期待した携帯ゲームもできず。唯一できたことは、予めダウンロードしていたKindle本を読むことだ。

しかも機種変更したばかりで、過去の積読が読めず、何気なくKindle Unlimitedで確保しておいた2冊のみが頼みの綱だった。

 

そんな状況に追い込まれないと読まないくらいの本なので、たいして期待はしていなかった。1時間ほどで1冊読み終え、もう30分でもう1冊読み終えたところで、ちょうど先生が来てくれて救われた。

 

知りたい希有なブログ読者のために、読んだ本を挙げると、2冊はこれだ。

戦略読書日記 (ちくま文庫)

戦略読書日記 (ちくま文庫)

 
資本家マインドセット (NewsPicks Book)

資本家マインドセット (NewsPicks Book)

 

 

楠木先生は「ストーリーとしての競争戦略」で有名になった人だ。本は面白かったが、一癖も二癖もある御仁なので、ストーリー〜以外のほかの本や記事は一切読んでなかった。

本書は、久々の楠木節で、エッセイ解説っぽくもあり、なかなか楽しめた。また読みたい本が増えた。

 

三戸さんは「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の人だ。ぼくは事業承継に関心があるので前著には目を通していたが、あまり頭脳タイプではないのでどうしても文章に薄さやムラを感じてしまう苦手なタイプ。

本書は、軽く読めるスナック菓子としては良かった。目新しさはないが、彼自身の経歴が語られつつ、資本ゼロでも志があればなんとかなる、という論旨には共感を覚えた。

 

 

帰宅列車のなかでは、新作携帯ゲームの素材集め周回を無心にやりつつ、途中帰宅ラッシュに巻き込まれながら、昼に爆食いした山岡家のラーメンに胃もたれしていたのでした。。。