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ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

友達には秘密にしておきたい自炊代行業者

Book / 読書

yo4ma32012-01-06
タイトルはホットエントリーメーカーです。深い意味はありません。


違法性が問われている自炊代行業者の問題。はてな村でも、佐藤秀峰氏ハックル氏Dankogai氏佐藤秀峰氏大西宏氏と、5連鎖のフィーバーが起きました。
自炊代行業者とは、書物や雑誌の電子化作業を代行してくれる事業者のことで、広く一般に裁断&スキャニングサービスを提供しています。最近では、消費者がAmazonやYahooなどの通販業者で購入した書籍を直接この代行業者に送ると、スキャニングして電子ファイルのみを送ってくれるような事業者も増えてきたと聞きます。(疑似・電子書籍屋ですね。さすがにここまで来ると気持ち悪さを感じます)
個人的には、年末の大掃除の機会に、これまで10年間ほど溜め込んできた本棚を一層したいと思い立ち、「捨てるくらいなら、イニシャルコストをかけてでも電子化してしまおう」という誘惑に駆られた時期でした。
そこで、試しにいくつか業者を調べていたのですが、調べていて痛感したのが、web上には、比較サイトや記事がごく少数しかないこと。あっても1年以上前の古いものしかないんですね。有名なライフハック系サイトやiPhone/iPad系サイトですら、全く特定の業者名があがっていない状況です。
納期が非常に長くなっているいま、俗に言う「お気に隠し」なのか、はたまた、著作権上のグレーゾーンであることに気を遣っているのでしょうか。
初心者には、困った事態です。


これから僕なりにもの凄くフラットに見たときの、業者の評価の仕方をご紹介しようと思います。
なお、予め言っておくと、現時点で、僕はまだ一切、自炊/スキャン代行業者を使ったことはありません。著作権問題の様子を眺めつつ、検討中の状態です。ダンボールの山が、このまま実家に送られるのか、資源回収に回るのか、古本買取にいくのか、選択肢が山ほどあります。


また、この記事でもって、自炊代行業者を利用することを広く推奨する意図は毛頭ありません。あくまで自己責任でお願い致します。
最後に「業者比較の参考になりそうなリンク」と合わせて、「自炊/スキャン代行業者の違法性に関するリンク」をまとめていますので、用量・用法をよく守って正しくおつかいください。

まずは、業者選びの基準を明確にする

「自炊」という言葉は知っていてやり方もなんとなく知っていましたが、「自炊代行サービス」に関しては、全くの素人でした。大和印刷さんが運営するブックスキャンが最古参で人気のサービスのようなので、こちらのwebサイトを見ながら、ざっとサービス内容や料金体系を理解するところからスタートです。
本を裁断し、スキャンする、というサービスの概要は、次の2つのようです。

  • 単価
    • 基本料金: 1冊/ページ数ごとに100〜200円が相場
    • オプション: 1)カバースキャン、2)OCR処理、3)ファイル名変更
  • クオリティ
    • 解像度 300dpi
    • 色:256階調グレースケール又は24bitカラー


次に、自分が求めるサービスは何なのか、優先順位を付けながら、以下の4点を必須要件と決め、それぞれの評価方法を定めました。

f:id:yo4ma3:20120105094825j:image:w100%

必須要件2の「業務用の裁断機・スキャナー」は、特に「品質重視」の上では必須なのではないか、という仮説です。ScanSnapを使って、自宅の自炊の延長でやられている業者も多いので注意してみています(その場合には価格が安くなるようです)
また、要件3〜6は、大量注文の場合に限っての要件だと思います。少量であれば、要件3:自分でiphone写真をPDF化、要件4:手作業、要件5:オンラインストレージ、要件6:現金(銀行振り込み)、という対応でOKだと思います。


あとは、細かな条件として、下記を想定しました。ここはあくまで、あればベターな要件なので適当にチェックする程度です。

f:id:yo4ma3:20120105094826j:image:w100%

ちなみに、「OCR処理」は、ファイル容量が大きくなるというデメリットがあります。
今回出そうと検討している仕事以外の本300〜500冊のうち、大半のものはOCR処理・不要と判断しました。ジャンルは、主に、小説、宇宙・科学・数学などの理系ハード本、哲学・言語論・社会学などの文系ハード本で、「検索する」という行為がほとんどなかろうと思われるものたちです。

どこに落とし穴がありそうか?

本格的に業者比較に入る前に、いくつかの比較レビュー記事を読み、多少勉強してみました。
よくある落とし穴としては、

  • 納期が異常に遅い
  • 入金確認、納期遅延などの基本的なメール連絡がない
  • ページ抜け、カスレ、逆さまなどのスキャンミス
  • OCR処理が荒すぎて、文字が判別できない
  • 品質として読みづらいレベルのもの

などが挙げられているようです。
原因としては、注文が殺到しているためにロクに検品作業に時間をさけないこと(慢性的な人手不足)、機材の調整不足、安かろう悪かろうのサービス体制、などがあるようでした。気を付けなければいけません。
僕としては、処分するのが勿体ないような大切な書物を廃棄同然の状態にしてしまうわけですから、こういったミスのないよう、価格は少しぐらい妥協してでも最低限のクオリティは押さえたいと思いました。(一部、絶版本も含まれているので、神経質になります)

で、リサーチして絞込み&比較対象表を作ってみた

業務用のスキャナーを使っている業者だけで見つけたのは下記の5社です。ほかにもあるかもしれませんが、限界効用に来ていたので、リサーチを切り上げました。
(もし他に良いところがあれば教えてください!)

そして、先ほどの基準に照らし合わせて、比較表を作りました。(※クリックすると拡大します)

f:id:yo4ma3:20120105094827j:image:w100%

品質がちゃんとしていそうなのは、法人向けサービスを展開している「ScanBridge」と「Jet-Scan」の2社です。
「ScanBridge」は、大量発注時(31冊以上または1万円以上)の送料無料サービスがありがたい。特に、ダンボール5-6箱送るとなると、それだけで高くついてしまいますので。また、表紙と中身の印刷パターンが選択できるのはGoodポイントです。
「Jet-Scan」は、納期・クオリティ共に問題ないのですが、銀行振り込みが足きり条件に引っかかってしまいました。大量発注時にはあまり向かないのかもしれません。


また、口コミで評判が高かったのは、「スキャポン」でした。ここはトップページに、お客様の声を正直に乗せているので、参考になると思います。
唯一、チューニングサービスもあるので便利そうですが、どうも納期が非常に長くなっている様子です。


「電子書籍本家」と「数寄庵」は、OCRの有無に関わらず最安値水準です。
特に、「電子書籍本家」は文庫・まんが向けのパッケージがお徳感がありました。また、唯一、「見積り注文」を受け付けており、非常にGoodポイントです。大量発注時には手間が減って助かります。
一方の「数寄庵」は動画で裁断・スキャンの様子がわかるので、クオリティに安心感が持てます。納期もそこまでタイトではなさそうなのが、意外と穴場なのかもしれません。

結論

いまのところの仮説としては、大量発注で納期が遅くなるくらいなら、4社に100冊ずつ分散しても良いんじゃないか、と思っています。
それくらいに、一長一短、甲乙付けがたい結果となりました。
品質では、「ScanBridge」か「スキャポン」が良いかなぁという感触です。ただし、どちらも納期がもの凄く長くなりそうなので、「電子書籍本家」と「数寄庵」にも特注マークを付けているという状態です。後者2社の評判も良いようですし。
また、「Jet-Scan」も、カード支払い対応さえしてもらえれば、十分使うだけの価値があるように思います。

雑感

今回、自炊代行業者 5社をざっくりですが比較してみて、各社の単価体系の複雑さに舌を巻きました。ページ数ごとの階段状の価格体系もあれば、オプション無料としつつも上乗せしているケースなど、実際に自分が出す本の分量とオプションを決めてから比較しないと、うっかり高値づかみをしてしまいそうです。
また、サービス体系としても、細かなところで対応に違いがあり、目を凝らしてwebサイトを見ないと、失敗してしまいそうなリスクも感じました(例えば、ファイル名変更サービスに「著者名」が含まれてなかったり。。。)僕の場合は価格よりも品質を重視しているため、そこまで単価が評価に影響しませんが、カバースキャンや著者名などは、本当にクリティカルな要件です。たまたま今回は時間があるので調べましたが、普段のときだったらおそらく見落としていたことも多くあったと思います。
こういうことがないよう、業者選びをする際には、くれぐれもお気を付け下さい。

参考サイト(自炊/スキャン代行業者の違法性に関して)

法律家の立場からは、著作権法の解釈として限りなく黒に近いグレーとの見解が目立ちます。

  • 福井弁護士の見解(非常にわかり易くまとまっています)

書籍の電子化、「自炊」「スキャン代行」は法的にOK? 〜福井弁護士に聞く著作権Q&A
福井健策弁護士ロングインタビュー:「スキャン代行」はなぜいけない?

  • 弁理士 vs Dankogai

残念ながら現状では複製代行サービスは難しい | 栗ブログ
ブックスキャン代行サービスは合法だよね? | 404 Blog Not Found
研究等の目的による書籍スキャンと私的使用目的複製の抗弁 | BENLI

  • 玉井克哉・東京大学先端科学技術研究センター・教授(知的財産法)

自炊代行提訴についての雑感 | アゴラ
ただし、佐藤秀峰氏の記事によると、弁護士の中でも意見が分かれる、とのことです。

複製権に抵触するかどうかは、判例がないのでグレーですが、この件の弁護団とは逆に、違法性はないとする弁護士も多数いらっしゃいます。

http://mangaonweb.com/creatorDiarypage.do?cn=1&dn=32817

ひとまずは、今後の動向を見守りつつ、山積みになった段ボールの行き先を考えたいと思います。



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