ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

2011年、僕のコンサルティングワーク(長編)

yo4ma32011-12-28
さて、2011年tweetの再編集記事の第2弾。プロジェクトワークに関して、個人的な課題認識をもとに、いろいろ呟いていました。
特に、戦略構築するにあたっての思考過程や頭の使い方について、何の気なく考えていたようです。
こういうのは、僕・個人のディベロップメントニーズとは、また別のレイヤーのお話で、割と中長期的なスパンで身に着けていく、コア・コンピタンスになり得る領域のお話です。かなり僕の感覚と、いまのケイパビリティに依存している話で、本来は、ひとりひとり違った経験や解を持っているはずです。ほかの人が聞いても、何にも役に立たないことが多い可能性が高いですが、まぁ年末ですし、棚卸しもかねてまとめてみたいと思います。
長編になります。お時間のあるときに、お付き合い頂ければ幸いです。(画像の意味もさいごに)

僕の根源的な問題意識

2011年04月03日(日): 同期とのサシ飲みで、今後のキャリアプランと、上司部下へのFBを再構成した自身のコンサルティングワークへのFBを議論しました。
結論は、クライアント・インタレスト・ファーストというプロフェッショナルとしての根源的な価値観をベースにして、チームとしてのバリューの最大化や、自責の念の持ち方社内での生き残り術としての上からの評価のされ方など、僕らはもっと「あるべき」を語っても良いのではないか、ということ。


思い返すと、この日、言語化した問題意識が、僕の根本的な意見の表明態度のようです。こうしてブログやTwitterに呟いている内容も、ここに立脚しています(いまさらですが)

思考の発火点

2011年06月14日(火): ピュアな成長戦略プロジェクトで、初期仮説を生み出すプロセスは、たまらなく面白い。
インプットして、意味合い考えて、仮説の仮説に思いを巡らして、議論して、ざっくり分析して、検証プロセス設計して、、、考えるのが好きな人には幸せな仕事です。


2011年06月15日(水): プロジェクトのキー・イシューと、アプローチを設計するところが、実は、一番難しく、かつ、面白い領域。
プロジェクトを売るランクの人の仕事で、たいていのプロジェクト開始時には固まっていることが多いのだけれど。
振り返ると、今年は、イシューそれ自体を手さぐりで模索しながら、プロジェクトを進めるような難易度の高いプロジェクトが多かったように思います。


2011年07月01日(金): 面白い仮説を考えるために、まだまだ引き出しが足りない感じ。
仕事以外のインプットと思考が足りない


見切りの「速さ」が、意思決定の質を上げるのか?
見切りの「深さ」が、意思決定の質を上げるのか?
とりあえず、もう少し速さを意識して、限界まで密度を上げてみる。


いまのプロジェクトは、珍しく、それぞれ別々の国内の外資コンサル大手経験者が4人集まったドリームチームで仕事をしています。共通言語があってやりやすい反面、微妙に各ファームのスタイルがあるから、食い違いも多い。
こういうときこそ、ゼロベース&ロジックがすべて。


2011年07月07日(木): 仮説が面白くなかったり、ふわふわしているのは、ストーリーを優先しすぎるあまりに、骨太なロジックとそれを支えるファクトを見極められていないから。
とはいえ、あまりボトムアップすぎても、遅々として進まず、スピード感に欠ける。急ぎすぎず、そして最短に。


2011年07月15日(金): いまの仕事で毎回難しいなぁと思うのは、思考の1歩目に、どこに軸足を置くかという事。どうせ進化するので、最初はある種の決めなんだけどね。ある程度見える領域なら誤差の範囲内に立てる感覚がある。一方で、全く検討もつかない領域では、足の置き所に迷うところで時間を食われている。


必要なのは、想像力とセンス感。


2011年9月1日(木): 文字や図に書き起こしながら思考を進める一方で、ぐーーーーーーーーーっと着想を練るところもある。
後者は、ロジカルにごりごり思考を進めるのとはちょっと違う。このフェーズをいち早くできるようになりたい。

クライアントのイシューを理解すること

2011年07月01日(金): リスクをとった意思決定は、本当に難しい。責任の範囲が大きければ大きいほど。
会社の命運をかけた一大プロジェクトをやっているクライアントの心境を想像すると、眠れなくなる。
クライアントが一番偉い、というのは正しい。


2011年07月21日(木): 今日はクライアントmtgから返す刀で、@daiso0103 と@kschye と飲みに。3人とも米国企業に属しながら日本を基軸に活躍する20代。業界は違えど事業会社で、何十億、何百億の数字を作っている彼らに大変刺激をもらいました。
P/L責任を持つ感覚への理解が、まだまだ浅いなーと認識。
いつも接しているマネジメント層のイシューにアドレスすることと、彼らの裏側にある思想を理解することのギャップを感じました。まだまだ経験も想像力も足りない。
何より、過去に膝をつき合わせて議論したクライアントの現場レベルのメンバーの顔を思い浮かべながら議論しているうちに、理解したつもりになっていた彼らの目の前のビジネスの課題感を、本当の意味で理解しきれていなかったのではないかと思い直した。もちろん、会社の経営イシューとは別の次元の話で。
プロジェクトとしての成功と、個人として目指す姿は、必ずしも一致しないね。どっちも同時に追求すべきもので、当たり前ちゃ当たり前の結論。
少なくとも、マネジメントだろうが、現場レベルだろうが、目の前の人のイシューに120%で応えたい


あとは、備忘として、いくつか将来的に携わりたい面白そうな領域を見つけました。
1.国内市場はどこもシュリンクする中で、頭数は減っても、まだまだニーズが強化されたり、バジェットが増える余地のある業界は、面白いかもしれない。戦略の妙が活きる意味で。
2.日本の感性を輸出する発想は、まだまだ妄想段階。これからビジネスを立ち上げる場合には、草の根的にどんどん先鞭をつけたらいい。国家戦略としてはお粗末すぎるが。


パターン認識の罠

2011年10月9日(日): 「クールジャパンって、アニメや漫画のことでしょ?」と言われると悲しくなります。同じように、「ソーシャルってSNSでしょ?」って言われると大事な概念の広がりや、めちゃんこ面白い可能性を捉えきれていないので残念になる。
一言でわかり易く言い切るのも大事だけど、複雑な事象を出来る限りありのまま捉えた上で本質にたどり着かないと視野が狭くなる
同じ理屈で、パターン認識も、常にある一面しか捉えていないことに留意しないと、どんどん発想が貧困になる。1つのことから、複数の切り口でパターン認識を抽出するか、ノイズも含めてパターン認識とすることを心がけたい(あまりそんな暇はないのですが)
経験だけで日々の取り組みをこなしているのは、要は、パターン認識で処理しているということ。
パターンを重ねているだけでは、成長は望めない。

組織のイシュー

2011年11月12日(土): 成果を出す部隊ほど、組織というより、ヒトへの依存度が高まります。
そう、マネジメントのヒト、です。
組織のダイナミクス以前に、ヒト。だけど、そういった文脈だからこそ、鍛えられ、生まれてくる人材でもある。普遍的、かつ、会社が求めるほどに頭数は出てこないのが、どの組織においても悩みです。
個人的な経験ベースでは、組織全体で最低1人はいるので、数の問題、ひいては、組織としての再現性の担保がイシューだと理解してました。(たしかに、規模によっては、ゼロもあり得ます。そして、OJTの訓練の話は、また別の人事イシューかと思います。組織と言うより。)
割と人事的に機動性の高い組織においても、全体最適を考えて人的資源配分を妥協せざるをえないのが現状です。“運の悪い”部署は少なからず生まれます。限られた有望な人材を戦略的に配置した上で、残りの8割をどこに振り、さらに、次の2割と8割を、どう生み出すか、永遠の課題です。


もっと言うと、まじめに組織を考えると、組織として、2割を取るのか、8割を取るのか、究極的に差し迫った論点に行き着きます。
そして、通常、8割の底上げが組織としてのインパクトも大きく、テコ入れの対象となります。
それはそれで正しい。会社としてのコア・コンピタンス(価値の源泉)は、実は2割であって、彼らは会社の歴史や文脈、歴代社長の人格、組織の歴史などなど、いろんなものを背景に生まれてくるのが実情。
いろんな観察事象や歴史的背景を理解し、咀嚼しきった上で、論理的にも、将来的にこの2割が一定数は生まれてくるものと想定するのが正しそう。確かに、そうだと思う。この2割が生まれないような危機的な状況は、何かが本当に劇的に変わらない限りは想定できない、普通は。


それでも、2割を、もっと引き上げる、或いは、競争力の源泉となるからこそ、再現性のある形に組織に落とし込みたい。こういう判断もあり得ます。「それでも、2割をどうするか」「この人材が年々減ってきている」「人材のトガリ度合いが落ちてきている」というのは、経営層の肌感覚として起こっている。


資源のアロケーションは、ヒトもカネも、最大イシューです。そして、組織の中で、それを考え、決定しているのは、実はごく一部、1人のヒトだったり。このヒトのイシューに最大限アドレスすることが、自分の仕事だと思ってます。
日銭に余裕のない日本企業には、残り8割底上げが優先される傾向にあります。
2割の人材を、さらに永続的に生み出すための、さらにトガリを先鋭化するための組織設計。本気で取り組むにはほど遠いイシューです。そして、めちゃんこ難しいテーマです。

アウトプット

2011年12月01日(木): 学生さんとの食事会など。話をしていて、いつも気になるのが「将来、起業したいんですが・・云々かんぬん」。僕が聞きたいのは、起業して何をしたいのか?何になりたいか?という「思い」であって、起業することが目的化して思考が止まっている子には、バッサリ言いたくなるね。
と、最近の若者は…的な口調で語るのは好きではないので、これ以上はやめよう。


どうやらプロジェクトには2種類あるらしい、と最近切に思う。
アウトプットが容易に規定できるものと、困難なもの。もちろん、簡単な方は滅多にないんだが。
クライアントの課題認識を解きほぐしながら、かつ、インサイトフルなアウトプットにするために、獲得目標、論じるべきイシュー、クライアントに歩留めたいこと、プロジェクトの最終ゴールへの積み上げ、云々。強いマネならやってること。
アウトプットの要件を決めるだけでも、もの凄く考えないと、その辺のコンサル(笑)的な人との圧倒的なクオリティ差が出ない。1を聞いて10も100も知るくらいじゃないと。


って、趣旨のことを上司が言ってました。(必殺メソッド)

洞察(インサイト)

2011年12月02日(金): 日本の平均的な年収の、一般的な家庭を持つ人のライフスタイルや価値観を、その人の過去の生き様まで含めて理解するのは、都心にいちゃ難しいよ。コモディティであればあるほど大事なこと。
いくら丸の内や渋谷の消費行動を観察したところで、マーケットのごく一部でしかない。一方で、トレンドがある一部の人から発信されて、全国的にブレークする商品が生まれるのには、ちゃんとしたサイエンスがあることも真
世の中で起きていることと、自分の感覚とのギャップを認識した上で、その溝を楽に越えられるだけの懐の深さ。加えて、マーケットのポテンシャルを見出す洞察力。これらを日常生活の中で、いかに回し続けられるか。
ここ1週間で、立て続けに自分の感覚と世の中がズレていることが起きてハッとしました。。。


2011年11月7日(月): 消費者のセグメンテーションには、ニーズベースバリューベースがある。ちょっと浅いけど入門編 : Segmentation: Value based or Need based? http://t.co/9rF17XC6
この辺、結構難しいところがあって、コモディティ商品と、機能的・情緒的に付加価値の高い商品でも全然アプローチが違う。対象とする商品の特性と、消費者の購買行動を見極めて、毎度、違うアプローチを検討しなければならない。
クリエイティブな部分です。
webアンケートやらの結果を機械的に解析して、帰納的にセグメンテーションをしてるだけでは見えてこない、消費者の本質的な部分に思いを巡らせなければならない。あくまで、分析は検証手段に過ぎないことを肝に銘じておく。

ストーリーラインの組み立て

2011年12月15日(木): ブログを書いたり、twitterにつぶやくのも、ストーリーテリングの一種と捉えると、少し考え方を改めねばと思いました。
というのも、僕は、完全に個人的な思考の備忘として、こういうメディアを使っている。一部連絡手段的に使うこともあるけど、あくまで思考を仮置きしておく場所なんだ
だけども、ちょっとした雑誌記事や実名記事を書こうものなら、読者のことを想定して、テーマに関する論点を広く見渡した上で、肝となるメッセージと文章を練り上げてゆく。
これって、普通に、仕事でスライド作るのと全く同じで、オーディエンスアナリシスからまずは荒いストーリー作って、キーメッセージやら、面白い事例やら、something newな観点からの示唆を出そうと考えるわけ。
それって、読者を想定しながらブログを書くときに、同じことやっても良いよね?と。もちろん、ブログの目的にも拠る。僕の思考の記録という目的だと、そのときの思いに加速度乗っけて書ききるスタイルの方が楽だし、個人的にも好きなのは確か。


最近は、ブログに書くのも面倒で、twitterで済ませてしまって、後でblogにログを自動ポストするだけで相当に満足している。
それでも、ちょっとしたinputから、ぐわーと論理を展開して、何か面白いことを言える瞬発力も大事。この点は、思い思いに好きなだけ書ききるレベルに留まっていては進歩がない気がしている(まぁいまもそうだけど)
それを鍛えるために、いま一歩立ち止まって、ストーリーを展開することを意識しながら、幅広い論点だしと、仮説出しを、クイックかつ同時にやることにtryしてみる価値があるなぁと。もの凄く抽象的だけど、個人的になぜか腹落ちしている感覚です。

アウトプットに対する姿勢

2011年03月04日(金): いまさっき風呂で、酔っ払って、めちゃめちゃ面白いこと思いついた!と思ってたけど、いまは朧げ・・・はてなんだっけ?
結論は、自分は表裏のない人が好きだ、ということ。言葉で取り繕ってどうにかしようとしている人は嫌い。自分の言葉と、紙のoutputに責任もてやと。ここまで覚えてる。途中含めて面白いblog記事かけるな〜と思ったのだが・・・
メッセージっていうのは、blog記事にせよ、プレゼンにせよ、冒頭のツカミから始まって、ロジックよりも、思いの熱量で押し切る部分が多分にある。
いまは、忘れたというより、結論と仮定も朧げにあるものの、熱量が冷めてしまって書けないという感じ。熱い風呂からでただけに。


備忘をかねて断片的に言語化してみる。
よく僕も思うのだけれど、クライアントの意思決定に影響を与えて、クライアント個人を動かせるなら、紙なんていらないと思っている。言葉だろうが映像だろうが飲み会の漫談だろうが、なんでもよい。そういう意味で、「面白いだけのスライド」には興味がない。クライアントを動かせてなんぼだ。
一方で、同様のロジックで、面白くて、その場の勢いで押し切るだけの言葉なんて、興味がない。ということも、また真だと思う。紙で残せるなら、それを渡して、読んでおいてもらう。そこで感動を与えて、意思決定にまで影響を及ぼす、という品質のoutputを目指すべきだとも言える。
結局は、クライアントにとってのPJの位置づけや、社内の物事の進むスピード、段階に合わせて、有効な手段をとればよいだけ。あくまで、紙のスライドだろうが、自分の語りだろうが、どちらも手段に過ぎないということ。そこに優劣はない。


このシゴトをしている以上、一定以上のoutputクオリティを満たすことは必要だし、一方で、超タイトなスケジュール感で、意味のあるoutputを出さなければいけない。その間として、言葉尻や見栄えの工夫で、あとは言葉でフォローする、ということも重々まっとうなことだと思う。
むしろ、必要なスキルに思う。これは、別に、クライアントに嘘を付いているわけでもなく、満足度を損なうことなく、もの凄くハイレベルな次元で行われているからこそ、やろうと思ってもなかなかできない領域のおはなし。
理想的には、outputの言葉尻・見栄え、プレゼンの一挙一動、すべてをミリ単位で洗練させるレベル


あとは、手段として、自分の言葉を使うのか、紙に表現し切ることにこだわるのか、好みの問題だ。
その話と、僕の、表裏のある人の好き嫌い、言葉の上での策を弄する人の好き嫌いが、どう関係するかというと、「人間としての生き様」がカッコいいか、カッコ悪いか、ということ。
紙に作品として残し切ることと、クリスタライズされた言葉で描ききることと、どっちが生き様としてカッコイイか、ということ。
どちらも芸術の領域にまで高められたシロモノを想像して欲しい。どちらが好きか、それすらも、個人の思いを相当に反映していると思う。

さいごに

自分のtweetで、1年間を振り返ってみて、当時は呟けなかったことも含めて、色々なことを考えていたなぁと感慨深く思います。
ここで出てきたキーワードは、日々のコンサルティングワークの中でも、非常に重要な要素です。
1つのキーワードで1冊本が書けてしまうような、濃厚なブイヤベースのような記事となりました。


コンサルタントに限らず、日々の仕事のヒントが詰まっていると思います。
関心のない人には、拷問のような記事ですが、いつか読み返してもらえると幸いです。
では。


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