ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

異質であることの価値

プロジェクトのアサインで油断していたおかげで、 4月半ばから5月末まで、四国のプロジェクトに入っています。
久々の地方常駐で、毎週、月曜朝一番の飛行機で飛んで、金曜夜に戻る生活です。
2年前、大阪のときを思い出します。 地方常駐は楽しいですね。


四国に飛ぶ直前には、また伊豆の温泉へ。去年の秋に行って、気に入った旅館を再訪問してきました。 今回は、w/母、妹のプチ家族旅行です。 踊り子号復旧前だったので、熱海まで新幹線、そこから車を借りて丸3日ほど周遊しました。(そのときの写真は、Facebookなどで公開しています)
僕自身は、車を運転して、家族を観光させている間、ひたすら車内で本を読む感じで、このブログでも面白かった本をいくつか紹介しました。 (これとかあれ
こうして4月の初頭に温泉+旨い飯&酒をたらふく堪能して、リフレッシュしてしまったおかげで、ゴールデンウィークは平穏に過ごしています。


さて、外資系の戦略コンサルティングファームに入社して、丸三年経過。
ここ半年で、社内で親しかった人の転職と、周囲の結婚・出産ラッシュがありました。
会社の経営に関わるアドバイスをする仕事なのですが、この業界で円満な家庭を築いている人を、あまり見たことがありません。笑 ヒトの会社に口出す前に、自分の家庭をマネージできなきゃ・・・なんてブラック・ジョークは、業界の通例です。
それでいて、社内の結婚・出産ラッシュは、いまの会社自体の文化や仕事のスタイルの何かが変わってきている感じがします。


自分個人を考えたときも、伊豆でたっぷり内省時間をとり、4年目に来て、仕事でまた違った側面が見えてきました。
1つは、「異質であることの価値」への理解が深まってきたこと。
昔、ブログに、会社の前社長、現グローバル・ボードメンバーの方の記事を描きました。

  • 「クライアントの方が偉い」 - ignorant of the world -散在思考

http://d.hatena.ne.jp/yo4ma3/20100805/1280939180


入社前から事あるごとに、「コンサルタントの価値は、異質であることだ」と聞かされてきましたし、新卒入社の若手が、百戦錬磨の経営陣相手に、価値を発揮できるのは、そこに由来するのだと経験的にも理解してきました。
さらに、もう1段。
いまの仕事への熱意と、将来のライフプランがうまくバランスしてきた、この4年目のタイミングだからこそ、悟り始めたことがあります。
立場も上がり、自分でリスク背負って、発する言葉が、クライアントにどのように浸透し、組織に影響を与えていくのか、クリアに、より深く想像できるようになってきました。 いまのプロジェクトは中間報告からの途中参加ですが、こんなことを考えながら自分の発言の質を意識してきたおかげで、うまく結果がついてきそうな段階に持ってこれています。
経験量や知識量で勝負する場面も少なからずありますが、それでも、「外の立場」「違う立場」「私の立場」から見ると・・・という言い方や意識の持ち方に変えるだけで、お客さんのマネジメントクラスへの伝わり方、自分のバリューの出し方に違いが生まれます。


また、異質であることの価値は、コンサルティングの仕事に限らず、男女関係やプライベートの仲間うちでも、共通の話だと思います。
日本の組織やグループでは、往々にして、同質であることが通行手形として認められる傾向にあり、異質であることが表立って評価されることはありません。
一方で、社内を見渡すと、日系企業から転職してくる中途の人を含めて、みんな思い思いに自由に生きています。「キャラが濃い」という一言で片付けられないほど、多様性に満ちていますし、それが積極的に評価される文化があります。
具体的には、ユニークな視点からの仮説構築、分析の切り口に留まらず、生活態度やワークスタイルについても、皆、本当に自由です。
新しいプロジェクトでは、毎回、みんな自由やな〜、と驚かされます。


とはいえ、ファースト・プライオリティは、プロジェクトの成果にある訳で、メンバーの生活スタイルが従来型のコンサルタントと大きく異なる場合には、簡単にそれを認められないようなプロジェクトや上司もおり、矛盾も孕んでいるところが面白くもあります。仕事上はもちろんのこと、人間的にも尊敬できる人でさえも、過去のスタイルを変えたくないし、他人のそれを認めるのは、難しいことなんだと思います。
それは、コンサルタントとしての思考スタイルに正解はなく、あくまでバリュー/ベース、アウトプット・ベースで評価されることに由来するものかもしれません。


外資系でOpenMindな風土がありそうで、日本の閉鎖的要素もある社内だからこそ、社内での転職や結婚・出産ラッシュは、ある種、エポック・メイキングな事象だという感想を持ったわけです。実際に、ここ最近で、ヒトの考えや行動が劇的に変化する場面を数多く目の当たりにしました。
人生の転機を間近で、しかも連続的に見られる機会はなかなかありません。「子どもが生まれる前は、鉄人のように働いていたのに、急に早く帰るようになったな・・・」なんて話はザラです。


個人的には、前回のプロジェクトで「もっと自由にやっていいんだ」という発見もありました。
その発見と、社内の変化が、僕の中でリンクして、毎週、朝6時半に首都高からレインボーブリッジを眺める感じが懐かしいなぁと思いつつも、 2年前の大阪へ向かう自分と比較して、全然、違う領域に辿りついていることを実感しています。


自分なりのバリューの出し方を、より一層意識して、模索し続けている結果、


何かが変わりそう。


そんな予感が日に日に高まっています。