戦略サファリ(ヘンリー・ミンツバーグ)
さて原発記事を途中に挟みましたが、連休中に読んだ本の紹介。4冊目。
ミンツバーグについては、論文集を含め出版された本は一通り読んでいます。
このブログやTwitterでも何度も取り上げている、一番好きな経営学者です。
戦略サファリ(ヘンリー・ミンツバーグ)
戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)
- 作者: ヘンリーミンツバーグ,ジョセフランペル,ブルースアルストランド,Henry Mintzberg,Joseph Lampel,Bruce Ahlstrand,斎藤嘉則,奥沢朋美,木村充,山口あけも
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 42回
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内容は、「戦略マネジメント」という領域において、これまで議論されてきた10の理論(学派、スクール)につき、流行り廃りの趨勢と各理論の取り扱い範囲(長所と短所)を学術的に論じたものです。
当然ながら、本書には、戦略マネジメントがどうあるべきか?答えは書かれていません。
それでも僕がオススメする理由は、本書の読み方にあります。
本書にある10の理論体系と、それらを論じる際に出てきた無数の論点に関する視座を持った上で、現実の経営イシューに取り組みながら、象(=戦略マネジメント)に関する洞察を深めていく。こうした使い方のためにある本です。
また、本書を戦略論の入門書として、基礎知識なしに読みこなすには、多少ハードルが高いものだと思います。数ある戦略論の名著を自分で読みこなした上で、それらを俯瞰して理解するために本をを読む、といった使い方も可能です。
コンサルティングのプロジェクトにおいては、時間軸、クライアント企業の状況、予算、データのアベイラビリティなど、様々な要因から最適な方法論を採用します。
僕自身は、無意識ながらも、どこかに偏った思想に陥っていないか、グッとプロジェクトワークに没頭した後に、自分の立ち位置を確認するために何度も読んでいる本です。
また、今回のプロジェクトを通じて洞察を得た、クライアント企業における戦略策定と実行のあるべき姿について、学びを棚卸し、消化するために読みなおす、そんな良書です。
少なくともコンサルティング・ファームで働こうとしている方は、知っていないと恥ずかしい視座が書かれています。
うちのファーム内定者には、必ずオススメしている教科書本です。
もちろん本書を鵜呑みにするのではなく、様々な本や論文を読み、戦略マネジメントに対する自身のパースペクティブを持つことに越したことはありません。
僕もいつかは、自分なりの視座を持ちたいと考えています。
また、企業経営の最前線で、日々知的格闘を重ねるビジネスマンの方にとっても、本書を読むことで、経験的、都度学習的に策定している事業戦略や中期経営計画、予算案などについて、その考え方を客観的に見つめ直す良い機会となると思います。
あくまで学術的側面からの論文本なので、実践には程遠い内容となっていますが、コンサルタント含めて、実務家の方々にとっても気づきの多い本です。
本書の内容は、戦略策定に限った狭い領域の話です。
リーダーシップ、変革マネジメント、学習、チーム、戦略、モチベーション、組織設計などの広範に渡る経営思想について俯瞰したい方は、以下の本「経営改革大全」も合わせて読んでみてください。
こちらはもっと分厚く、600ページ近くありますが、読みやすいものです。
経営革命大全―世界をリードする79人のビジネス思想 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: ジョセフボイエット,ジミーボイエット,Joseph Boyett,Jimmie Boyett,金井寿宏,大川修二
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/07
- メディア: 文庫
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戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)
- 作者: ヘンリーミンツバーグ,ジョセフランペル,ブルースアルストランド,Henry Mintzberg,Joseph Lampel,Bruce Ahlstrand,斎藤嘉則,奥沢朋美,木村充,山口あけも
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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