ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

優秀なコンサルタントに巡り合う方法

yo4ma32010-08-12
先日の記事、コンサルティング・ファームは「虚業」か?「実業」か? - ignorant of the world -散在思考-で面白いコメントを頂き、そこでのやり取りが皆さんにも参考になるかと思い、エントリーにします。

知り合い登場

コメント欄に、知り合い(leolioさん)が
「イケテナイコンサルタント」を引いてしまうリスクを最小化するには?
(裏を返すと、優秀なコンサルタントに巡り合う確率を最大化するには?)
という、論点を投げかけてくれました。
以下、コメント引用します。

leolio 2010/08/12 02:09
(新卒年次同期で、どこかで1回お会いしたことある気がしてますが)
たぶん初めてのコメントです。

面白いですね。
いつもコンサルタントという仕事に対する真剣さと熱い想いが伝わってきます。

本件については個人的に極めて同感です。
虚業/実業の議論が沸き起こる背景には、多くの場合、「そんなんで何金取ってんだ!」というような怒りだったり僻みがあるように思いますが、仕事の価値をお金で定量化しているのは他でもないクライアントなわけで、それ以外の第三者は究極的には価値を量ることはできないし、価値について具体的に論じるのも限界があるのかなと。

クライアントから文句しかでなくなって、ビジネスとしてもファームの存続が危ぶまれるようになったら、その時は「虚業」なんでしょうね。
コンサルタントの質の悪化という内部要因と、世界の経営レベルが上がりすぎてorナレッジが流出しすぎて…という外部要因、いろいろあるでしょうけれど。

コンサル業界が、今、あること。そしてyo4ma3さんのように、クライアントに喜ばれるコンサルタントがいる時点で、少なくとも、今は全然「実業」なんだろうと僕は思います。

ところで、「虚業/実業か判断する」and「価値を定義する」クライアントサイドに立ったとき、正直一番のリスクは「イケテナイコンサルタント」を引いてしまうことだと思うのですが(実際、あたりはずれについて感じることはけっこうあります)、それをミニマイズする方法って業界人の目線から見てありますかね?いつか意見を聞きたいものです。

クライアントサイドに立ったときには、切実な問題です。
良いポイントを突いてくださり、有難うございます!>leolioさん

僕なりのご回答

仰る通り、当事者以外が、価値について論じるのは、相当リスキーな発言にならざるを得ません。同じファーム内ですら、隣のPJの実情は人づてに聞く程度で、既にその人の主観が入った情報しか得られないのですから。


さて、ご質問の「イケテナイコンサルタント」を引いてしまうリスクの件ですが、一番のリスクは、PJが失敗するリスクではないでしょうか?そして、PJの成否は、コンサルタント1人でどうにかなる問題ではないように思います。そのためのチームです。

長いPJ期間の中で、ある瞬間のスナップショットを見ると「イケテナイナ〜」と思う場面は、少なからずあるでしょう。ただ、それらを尻ぬぐいするのが、マネージャー以上の仕事なので、PJ全体で見た場合には、大抵、成功に持って行くように出来ています。アラートが挙げられた時のファームの動きは、素早いです。
また、成功の定義は、通常、PJの発注者(経営陣)の期待値にmeetできたかどうか、で図られます。現場の方が、「これでコンサルかよ」と思っているか否かは二の次です。僕個人は、クライアントの上から下まで圧倒すること、を成功と考えていますが、優先順位がPJオーナー>現場メンバーとなることは同意できます。
なので、leolioさんが「イケテナイ」と思われていても、発注者である上司の方と認識が異なる可能性があることを、ご理解下さい。

その上で、出来る限り、凄いコンサルタントと一緒に仕事がしたい、というお話でしたら、PJ開始前にアサイン予定のメンバーに会うことをお勧めします。

1.(極論)アサイン予定のメンバー全員のPJ経験を事細かに提出させ、面談する
 面談で、業界知見や、御社にとってのPJの重要性への理解度、PJにかける個人の思いなどを聞き、納得出来るメンバーになるまで、繰り返すことです。ファーム側からは、相当、嫌われます。また、首実検の時間だけ、PJのスタートが遅れます。PJが遅れることが、御社にとって良いこととは思えません。個人的には、あまりオススメしない方法です。

2.(妥当案)担当マネージャーのPJ経験を事細かに提出させ、面談する
 これがオススメの方法です。PJの成否に大きく影響するのは、マネージャー以上の力量です。ここさえ、めちゃめちゃ優秀な人であれば、絶対に、PJがコケることはありません。よって、このレベルの人とは、じっくりお話をして、信頼できる人にお願いするのが最も効率的です。そこまで時間もかかりません。


と、教科書的にお伝えしましたが、実際、どこまで機能するかは、わかりません。
実情をお伝えすると、ファームの稼働率やテーマ次第では、偏った人材がアサインされる可能性は多分にあります。一方で、PJの責任者となるオフィサーは、自分のPJを是が非でも成功させたいので、その時点の駒の中で、最強のチームを組成しよう、というインセンティブが働きます。PJは同時に何本も走っているので、優秀な人材の奪い合いにもなります。
これらの綱引きの結果として、アサインされるコンサルタントが決定します。したがって、メンバー構成は、運の要素が強くなってしまいます。

長くなりましたが、以上です。
参考になれば幸いです。