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ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

東大生による就職活動論

就職活動tips

(1/20修正:諸事情によりプライベートモードに設定していましたが、復活させました。)
先日、慶応三田キャンパス前のカフェでしこしこ論文読んでいるときに、先輩から就職活動している後輩へアドバイスをしていて、聞いていられないくらいヒドかったので、ちょいと述べさせてもらいます。就職活動tipsの初エントリーです。
就活中、「やらなければならないこと」はたくさんあります。自己分析、業界分析、会社分析、OB訪問、筆記対策、面接対策、キメ写真の撮影、履歴書作成、エントリーシート作成、身だしなみ、etc...
就職活動を終えた先輩の皆さん。あなたは後輩に「こうすれば絶対内定取れるぞ!」と、どのようにアドバイスしますか?
僕は、最初の2つ「自己分析」「業界・会社分析」さえきちんとやれば9割がた成功できると思っています。逆に言えば、この2つがしっかりとできている学生は、ほとんどいないということ。このエントリーを読んでもらえれば、皆さんがどの程度できているのか、わかると思います。
カフェで話をしていた学生たちは、当たり前のこと、自分の場合にしか通用しないこと、たまたま運よく通じたこと、些細などうでもいいこと、などを思いついた順にアドバイスしていただけで、「こうすれば絶対内定取れるよ!」といった汎用性のあるアドバイスは全くできていませんでした。(後輩も、それでヨシとしてしまっている所に、問題があるのですが。どうもこの時期になると、論文を読む横で、こんな稚拙なやり取りがカフェや学内で多く交わされ、さすがに聞くに堪えません・・・。)
はっきり言います。この中で本当に努力して、準備しなければならないことは2つしかありません。それが『絶対内定』の秘訣です。通りいっぺんの面接対策や筆記対策なんて、本読んだり勉強すればどうとでもなる部類のものです。写真もプロに撮影してもらえばいいのです。自分の人生決めるのですから、それくらい努力して当然でしょう。努力ともいえないかもしれません。学歴も然り。そこでクヨクヨしているのは論外。就職活動生の半分はこのレベルでストップしている、という事実を、まずは知ってください。
真に向きあうべき問題は、こうした努力を前提として「努力したものの中から内定を勝ち取るためには、なにが必要か?」なのです。

2つの簡単な質問。

  • Q1.なぜ「あなたは」この会社に入りたいのか?
  • Q2.なぜ会社は「あなたを」採用する必要があるのか?


就職活動の全てが集約されている、クリティカル・クエスチョンです。きちんと答えられますか?
言うまでもなく、この質問に答えるための、自己分析、業界・会社分析であり、「就職活動=この質問に学生が答え、会社を納得させる作業」と定義できます。この2つの質問にさえ答えることができれば、あとはあなたが会社に合う人間かどうかの運、人間性の問題です。むしろ、人間性すら、採用するための理由の一つなのですから、Q2に含まれると考えます。
僕の数少ない経験上、残念ながら、この質問に本当に完璧に答えられる人は、外資・金融・商社など難関企業の内定者の中にもいるかどうか怪しいレベルですし、ましてや就活中に出会う同じ学生で、できている人は皆無と思われます。

Q1.なぜ「あなたは」この会社に入りたいのか?

この質問に答えるということは、次の2つの問題をクリアしなければなりません。
1段目は、コミットメントの問題
自分のいままでの人生を振り返って、自分の人生目標・将来の夢を心の底から設定できることは必須です。それは、どんなに辛くても、その実現のためには如何なる苦労も厭わない覚悟があることを意味します。自分の行動基準はなにか、どれくらいその仕事をしたいのか、どれくらい覚悟があるのか。自分の人生を徹底的に内省し、社会で成功するための根性、理由、自信、拠り所を見つけ出す必要があります。
2段目は、ロジックの問題
1段目で心の底から設定した夢・目標から現在に至るまで、きちんとブレークダウンして、語れなければなりません。夢の実現、なりたい将来像の実現のためには、無数の方法があるはずです。その中で、なぜこの道なのか。論理立てて語れる必要があります。要するに、自分の人生ちゃんと考えて行動してるのか、ってことです。


別の言葉にすると、
自分が将来成し遂げたいことを、熱意を持って他人に語ることができますか?それを成し遂げるために、一年後になぜこの仕事をやらなければいけないか、論理的に話すことができますか?
就職活動前に既に考えていて当然、とも言えるこの基礎的な質問に対して「なるほど!」と感心するほどの答えを返した人に、いまだかつて出会ったことがありません。そもそも、この質問に答えられずに、納得いく選択を行うことは難しいと思うのですが、内定者でさえ頭の中で漠然と考えているだけで、一番疎かにしている部分のように思います。意外と、小手先と運だけで受かっている人が多い証拠かもしれません。(あるいは、会社側も、この点をあまり重視していないのかもしれません)
で、よくある回答は、「将来○○がしたいから」「社会にインパクトを与える仕事がしたいから」「○○に携わる仕事がしたいから」「社員の人を気に入ったから、一緒に仕事がしたいから」「昔から憧れて、好きな企業だから」etc...。この辺はうまくやれば及第点。で、意外と多いのが、会社の業績や社員を褒めて「御社の○○が良いから」。これは論外です。
前者と後者の違いをわからない人は、お疲れ様でした。前者に当てはまった人は、熟考してみてください。

Q2.なぜ会社は「あなたを」採用する必要があるのか?

さて、Q1に対して、納得いくレベルの答えを用意できたとします。が、まだ内定を取った気でいるのは早いです。ここまで、幼稚園児がお遊戯会の主役を「ぼくやりたーい!わたしやるー!」と言ってるのと大差ありません。Q2に答えられて初めて大人になれるのです。
この質問を採用される側から考えると、「あなたと一緒に仕事をしたい、と思わせられるか」ということになります。そこでみなさんは、自分がどんな人間であるかをアピールすることになり、通常、自分の強みを主張することになります。中には、自分のユニークさや性格などをアピールする人もいますが、結局は自分の自慢話を披露することになりますね。
実は、ここには2つ問題が隠れているのです。


1つ目は、強みの再現性の問題です。
「大学時代○○成し遂げました」系は多いですし、誰にも真似できない凄いことをやっている学生もたくさんいます。ただし、それって再現性あるの?まぐれじゃないの?社会に出て、この会社でその強みを発揮できる保障あるの?と聞かれたら答えられますか?一つ自慢できることを作るのは最低条件です。同じ強み・人間性を発揮して、2つ以上成果を出さなければ、全く持って意味がないと言えるでしょう。また、いつまで遡って答えてよいか、という疑問が付きまといますが、答えは「いつまでもOK」です。採用プロセスというのは、企業の人事担当者を説得するという一面があります。ここまで読んでもらえば、私の言わんとすることがわかるでしょう。説得させる材料になるなら、なにを使ってもOKという話です。強みについては、
李英俊さんの記事
(リンクを張り直しました。現在は、関西にあるバリューマネジメント株式会社でご活躍中です。)
こちらが必読です。コピペして毎日読んでください。
一つアドバイスとしては、新卒の場合、強みを納得させた上で「将来性を感じさせる人間」を演出できたら最強だと思います。


2つ目は、会社が求める人物像の問題です。
採用担当者がいままでのQ1と強みを聞き、あなたのアツい思いや情熱、能力・ポテンシャルを評価し、納得したとします。最後に、あなたが会社の求める人物像に合致するかどうか、「あなたの人間性を見て、確認する作業」になります。その意味では、積極的にあなたを採用しなければならない理由をアピールするものではなく、相手任せな部分が大きい不確実なものに思えます。しかし、内定者同士が集まってみると一瞬でわかるのですが、企業が最終的に内定を出す人たちには、ある程度共通した人間性なり雰囲気を持っているものです。採用プロセスにおいて、この作業は大きなウエイトを占めていると言えるでしょう。学生側もつい忘れてしまいがちな所で、優秀な学生が落とされる最大の理由にもなっていると思います。
細心の注意を払って、努力すべきポイントです。あなたの話し方、言葉遣い、ちょっとした動き、雰囲気など全てを総合的に判断されます。いかに企業が求める人物像を読み取り、アピールし、一緒に仕事をしたいと思わせるか。ここまできたら、自分のコミュニケーション能力をフル稼働し、何が何でも説得するしかありません。個人的なアドバイスとしては、「徹底的に」情報を集め、柔軟性を持って対応することです。どのくらい「徹底的に」かと言うと、社員の誰かと友人になるくらいです。正直、担当者の考え方(おもしろいヤツが好き等)や、社風など「運」によるところも多分にありますが、コントロールできるところは、いかなる努力も惜しんではいけません。


よくある回答は、「自分の○○な強みを生かせるから」「自分の○○な人間性は御社に合うと思うから」。勝手な判断はやめましょう。

まとめ

長々と書いてきましたが、私が最初に

私は、最初の2つ「自己分析」「業界・会社分析」さえきちんとやれば9割がた成功できると思います。

といった理由は納得してもらえたでしょうか?
就職活動、つまりは就職先選びは、自分の人生の大きな転換期です。(就職という道を選択する人にとって)将来の夢への道はここからスタートしており、そこにありったけの情熱を注ぎ、苦労・努力を怠ることなく、内定を勝ち取ることは、自分の人生に真剣に向き合っているならば当然の行いではないだと思います。努力してないヤツに、とやかく言う資格はありません。
自己分析や業界・企業分析はやって当たり前。これを疎かにすることは、自分の人生をいい加減に生きることに直結します。僕自身は「就職活動を成功*1させられない人が、人生成功できる訳がない」と思っています。一度目標を設定したら、(まして就職活動くらい)成し遂げるのが当然なのです。
言い過ぎなのはわかっています。
でも、将来のことを本気で深く考えずに就職活動している人、それで安易に就職先を選び入社後3年以内に辞めてしまう人、こんなが輩が多いこと多いこと。私が係わっていた企業がITベンチャーというのもありますが、そんな社会人を何人も見て、残念な気持ちになったことは言うまでもありません。
が、そこにも『中卒で英語読めないけどJava書かせたら社内一』という“坊主の兄貴”がいました。彼が深く考えているわけではないのかもしれないけれど、就職活動中に浮ついた議論や浅はかな話をしている学生に比べれば、何百倍もカッコよかったんです。また、私の就職活動に大きな影響を与え、ひいてはこの就活論に影響を与えた人にも、そこで出会いました。彼の遺伝子を受け継ぎ、自分なりの文章にまとめるためにも、今後もエントリーを重ねたいと思います。
一エントリーにたくさんの話題を盛り込みすぎた感は否めません。随時修正を加えると共に、個別にピックアップしていきたいと思います。

追記(2010年1月某日)

Q1における前者と後者の違いについて、少しヒントを。
前者は「意志を伴なう主張」で、後者は「意志のない主張」(単なる感想)です。
前者については、さらに「なぜ○○をしたいのか?」「なぜ○○が好きなのか?」を論理的に、或いは、原体験を踏まえて語ることができれば納得感が醸成されます。
後者については、「なぜ良いと思ったのか?」を掘り下げて、自分が大切にしている「価値観」をきちんと認識すること。さらに、その価値観に立脚したときに、自分は将来どんな状態になっていたいのか?、将来の夢を設定しましょう。

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*1:なにをもって「成功」とするかの議論は、別の機会に⇒[http://d.hatena.ne.jp/yo4ma3/20080122/1201024124:title=続・東大生による就職活動論]

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