ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

IPAフォーラム2007に参加しての雑感

10/30(火)IPAフォーラム2007@明治記念館の『「学生から見たIT産業」と「IT産業から見た学生」〜IT産業は学生からの人気を回復できるか〜』と題された討論会に、学生の一人として参加してきた。

中身の詳しい話はこちらに譲ります。
IPAフォーラム2007で討論してきた-東大MOT学生の奮闘記 IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ-@IT
参加者の感想などはこちら。
IPAフォーラム2007-発生練習IT業界も捨てたもんじゃないっすよ-NC-15
はてぶのコメントも面白い。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/itoyosuke/20071101/1193932945


恩師である東大の情報システムを統括しているO先生の紹介で、留学生の友人を誘って参加したのだが、正直先生から聞いていた話とは全然違った。先生と私との縁は、「超純水装置を作るプロジェクト授業」でお世話になったという、ITとは全く関係ないところから始まった。先生は日本の「トップ技術者育成」「高度IT技術者育成」に非常に強い関心を持たれていて、実際に文科省や経産省と一緒になって、今度専門大学院を作る方向に動いている人。ちなみに、小宮山総長とも同級生で、唯一総長に文句の言える人らしい(本人曰く)。すでに昨年定年退職されているはずだったが、小宮山さんの強い要望で残ったことで、今回こんな話へとつながった。たまに先生に会いに行って長話をしては、お昼をおごってもらったりしている。そんな関係だ。


閑話休題。


したがって、当初の話では、日本の「トップ技術者育成」「高度IT技術者育成」に関してガンガン突っ込んでくれと依頼されていた。もちろん、そのつもりで臨んだ討論会・・・。

副題「〜IT産業は学生からの人気を回復できるか〜」

正直、参加して発言してはいたものの、枝葉末節な議論には辟易してしまった。イメージ論をどう収束させるのか、まったく先行きが見えないまま議論はスタートしたが、副題にある「IT産業」「学生からの人気」、この話であれば、3Kや7Kといった勤務実態・仕事内容は議論の本質ではない。学生としても、そんなことは気にしていないのが本当のところだ。ましてや、ITスキルの標準化の話など一部に限った話でしかない。参加者含め、所詮IT業界というかSIer業界の話だったのである。
そのあたりの定義が曖昧なまま議論を進めることの危険性を、始まる前から心配していたので、IT業界の定義を最初に提示したつもりではあったが、スルーされてしまった感が否めない。一応整理して詳しく記しておく。


IT業界は「サービスレイヤー」と「インフラレイヤー」に大きく分けることができる。「サービスレイヤー」はネットワークインフラを活用して、付加価値を付けたサービスを提供する事業で、「インフラレイヤー」はインターネットのインフラそのものを提供する事業である。
「サービスレイヤー」には、(インターネット広告、EC、エンドユーザー課金、アウトソーシング)×(B2C,C2C,B2B2C,B2B)のビジネスモデルがあり、Amazonや楽天、Yahoo、サーバーエージェントなど、いわゆるネット系ベンチャーが代表企業として挙げられる。
一方、「インフラレイヤー」のビジネスモデルには、1.NTTやUSEN、DoCoMoといった「回線事業者・携帯キャリア」、2.IIJ,YahooBB,@nifty,So-netといった「ISP」、3.MEX,Bit-isle,@TOKYOといった「iDC」、4.HITACHI,NEC,ORACLE,Sunといった「ベンダー、H/W S/W ソリューション」などがある。
プラスアルファとして、アクセンチュアやIBMといった外資系のIT系(会計系)コンサルティングファームも付け加えておこう。


IT産業、IT業界、IT企業といっても、これだけあるのだ。なにも一番暗くてイメージすらわかないような「SIer」部分に特化しなくても・・・と思えてしまう。もし本当にIT産業と学生の未来を議論したいのであれば、議論のキモは以下の3点になるべきであったと思う。

  • リクルーティング(仕事内容などはここの一部)
  • キャリアパス(人材育成)
  • オフショアリング問題(会社の未来)


そんなことを考えながら聞いていて、面白かった&気になった点をいくつか。

  • NTTデータ社長の「プロジェクトチームが兵隊」発言

「え〜!!」とずっこけてしまいそうになったが、時間の関係上突っ込めなかった(笑)後で話したら、司会者の田口さんや一緒に参加した友人も同じように驚いていたらしい。そりゃ学生行く気なくなりますよ。

  • 学生からの人気 = 就職市場での人気 ≠ 社会的認知度

3Kや7Kの話から、PA理事長「ソフトウェアの特徴は「見えない」こと」やTIS社長「ソフトウェアというのは社会の基盤となっており、企業名は見えにくい」といった発言が飛び出した。

 また岡本氏は「モノをつくっている会社は、イメージがモノで通じている。われわれの業界はモノを作るといってもソフトウェア、もしくはサービスを提供している。目に見えてイメージはわかないかもしれない。インターンなどで実態を見てからもう1度考えていただければいい」と学生を諭した。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ-@IT

終いには、他の学生からは「メディアに取り上げられて、有名になるのは暗いニュースや事件ばかりだ」とまで言われてしまっていた。これには、重鎮たちも苦笑いで、日経BPの田口さんに話を振るしかなかった。
でも結局は、『リクルーティングに失敗している』。この一言に尽きるだろう。

BtoBのビジネスをしている企業の業務が学生から見えにくいのは当然で、見えにくいなりに工夫をしないといけないと思う。でも、パネリストの口ぶりからは見えにくいのは当然のことで問題と感じていないというような雰囲気が伝わってきた。興味を持たなければ、インターンにも来ないだろうに。

IPAフォーラム2007で討論してきた-東大MOT学生の奮闘記

ゆえに、B2Bは言い訳にならない。現に、リンクアンドモチベーションやアルーなんかは、就活市場で急に知名度が上がる。P&Gなんかは、就活市場で圧倒的な地位を築いている。NTTデータやTISも一般の学生受けするようなイベントなどを開催せよ、と言うわけではないが、SI業界の求める学生は非常にターゲティングし易いように思うがいかがなものか。あるいは、ターゲットとする学生のパイを広げたいのであれば、そもそもの技術者教育や専門教育の話になってくる。何を議論したいのか、何を議論すべきなのかわからないまま進んでしまい、なんとも気持ちの悪いものであった。

  • 求める人材の定義

これは学生からもいろいろ突っ込みがあった「コミュニケーション能力」

 IT業界はどのような学生を求めているのか。重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」(浜口氏)、「チャレンジングで好奇心旺盛な人」(岡本氏)の2点を挙げた。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ-@IT

きちんとスキル分解しようよ。「コミュニケーション能力に長けている人」の話は延々続いたが、ほとんど聞いていられなかった。NTTデータの仕事内容から考えるに、子会社に仕事を振るようなプロジェクトマネージャーを想像していたが、あながち間違いないのでは?
ロジカルシンキング、コーチングスキル、プレゼンテーションスキル、面談スキル、採用試験面接者スキル、自己表現力・指導力向上研修、交渉術研修、メンタルヘルス研修、etc...
その場では、PMを想定して「マネージャー研修」の研修項目が頭の中をよぎっていた。

  • オフショアリング問題(会社の未来)

については、うまく濁されてしまった。「人件費の安い海外に負けないように、我々にしかできないような付加価値をつけていく」的なニュアンスだったように思う。先行き危ういな・・・。

残り2人は「絶対に嫌」

 セッションの最後は学生に対しての「将来ITの仕事に就いてみたいか?」という質問。学生10人のうち8人が「働きたい」、残り2人は「絶対に嫌」という回答だった。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ-@IT

以上の話を聞いて、「働きたい」と思う方がおかしい。つい「絶対に嫌」に手を挙げてしまった。本音だ。いま1年間関わっていたサービスレイヤーの事業立ち上げ会社ならまだしも、インフラレイヤーのどこに魅力を感じようか。
コード書いてエクスタシー感じてしまうような人種でなければ、進んで就職するような業界ではないだろう。これが私の結論だ。

はてぶ107user(ひとりごと)

以下大きなひとりごとです。

同じ参加者のIPAフォーラム2007で討論してきた-東大MOT学生の奮闘記がはてぶトップに出ていて羨ましかったので、ちょっと対抗してこのエントリーを書いてみた。が、ブックマーカー受けする文章は難しい。
某ソーシャル・ブックマーク・サービス立ち上げに係わり、カリスマ・ブックマーカーを目指していた自分は、所詮ブックマークを集める側であり、エントリーを提供する側ではないことを痛切に感じた。

裏話

議論も終わり、控室に戻った。中庭の日本庭園も眺めながら、タバコを吸って一服しているとき、今回の討論会の司会を務めていた田口さん(日経BP社 コンピュータ・ネットワーク局プロジェクト推進部 部長がやってきた。本エントリーに書いたことも一部ぶつけて、今日の反省点やさらに突っ込んだ話をした。討論会よりも、田口さんといろいろ本音トークしている方がよっぽど知的に興奮した。今度は、もっと長い時間で、かつ、楽天の三木谷さんやソフトバンクの孫さんなども交えて、日本のIT業界全体を俯瞰するような大きな議論を熱く、そして建設的に行いたいと強く思った。
田口さん、ぜひ開催してください!

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