ignorant of the world -散在思考-

元外資系戦略コンサルタント / worked for a Global Management Consulting Firm in Tokyo

マルボロ(Marlboro)のパッケージデザイン戦略

yo4ma32007-09-23
最近、マルボロが「限定パッケージ」にしているのをご存知だろうか?
今年2回目である。右の写真をご覧いただきたい。
左2つ黄色は5,6月、右赤色は9月の限定パッケージだ。

既存客の囲い込み。

何を隠そう、私は「マルボロ・ライト」の愛煙家で、この「限定パッケージ」に惚れてしまったのである。おかげで一日に吸う本数が増えてしまった。
そもそも、マーケティング戦略における「パッケージデザインの役割」は3つある。

  • コミュニケーション・メディア
  • 商品価値
  • ブランドイメージ

広告や宣伝を使ったマクロなアプローチも大切であるが、化粧品業界やドラッグストアなどに代表されるように、店頭で実際に目にする商品が非常に有効な広告塔になるため、企業は専用棚を設けたりちょっとしたポップやポスターといった販促費を投下する。商品=パッケージはターゲットとする顧客の注意・興味を引き、商品購入の動機付けをし、商品購入後の満足度を高め、リピート購入につなげる。また、短期的には、ある種のキャンペーンやメッセージを伝えるコミュニケーション手段として、長期的には、ブランド連想を助け、ブランドイメージを形作る重要な役割を担っている。
この役割に照らし合わせて、フィリップモリス社が短期的にパッケージ・デザイン変更をした意図を探ってみると、

  • 話題性
  • ブランドロイヤリティの向上
  • 上記2つによる、新規開拓+既存顧客のリピート購入促進=売上向上

こんな所だろう。タバコの売上は、味もさることながら、イメージ戦略が寄与するところが大きい。話題性やパッケージデザイン、広告・宣伝が売上を左右するといっても過言ではない。今回の「限定パッケージ」は、潜在顧客にマルボロの存在を再起させ、ブランドスイッチングのハードルを下げたと言えるだろう。また、味に満足して購入していた既存顧客に「持っていることに対する満足感」を与え、ブランドロイヤリティを向上させることに成功している。しかし、マルボロ以外のパッケージデザインの変化を知らない上、デザイン変更費用対効果がわからないので、成功かどうかは判断しがたい。
私に限って言えば、今回のパッケージ・デザイン変更により、まんまと(?)フィリップモリス社の戦略にハマリ、自販機で通常のパッケージが出てきたときには、がっかりするほどに「マルボロはやっぱりカッコイイ!」と思うようになった。さらに、積極的にこのパッケージのタバコを買い求めるようになっただけでなく、こんなブログに記事を書いてしまうほど「歩く広告塔」になってしまった。


悔しいような嬉しいような複雑な気持ちです。